コラソン、来期へ「勝ち癖」つける 7位と躍進 JHL2022‐23シーズン総括


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琉球コラソン―トヨタ自動車東日本 前半、果敢に攻めるコラソンの東江太輝(右)=23日、県立武道館(喜瀬守昭撮影)

 日本ハンドボールリーグ(JHL)の2022―23レギュラーシーズンが5日、全日程を終えた。男子の琉球コラソンは、通算成績8勝13敗1分けで総合7位。昨季の9位から順位を二つ伸ばし、勝ち数は四つ増やした。8勝はこれまでのシーズン最多記録と並ぶ。格上相手に金星を挙げるなど、低迷していた近年と比べ、着実に力が付いてきている。今季から指揮を執る東江正作監督の下、組織力の底上げが図られ、「負け癖」を「勝ち癖」に変える意識改革が実を結び始めてきた。シーズンを駆け抜けたコラソンの戦いぶりを振り返る。

■攻撃力が増強

 東江監督は昨年5月の就任会見で「30点は取らないと、勝利をつかむのは難しい」と述べた。今季のコラソンは全22試合のうち、半数の11試合で30得点以上を挙げた。中でも、11月5日の名門・大崎電気とのホーム戦では、今季最多の42点を挙げ、相手に10点差をつけた。07年のクラブ創設以来初めて大崎を破った。同26日には強豪・大同特殊鋼と対戦し、35―31の接戦の末、10年ぶりに勝利。上位チームにも引けを取らない実力を付けていることをうかがわせた。

 チームの総得点は昨季の555に対し、今季は641点。攻撃力の増強が躍進の原動力となった。選手では特に、仲程海渡が7メートルスローでJHLのシーズン歴代最多となる計54得点を果たした。フィールドも合わせた全得点では計136得点と、リーグ全体で3位につけた。主将の東江太輝もフィールド得点が125点でリーグ2位、7メートルスローを合わせ計131点でリーグ5位の活躍だった。

■若手の台頭

 シーズン後半に入ると、若手と中堅の活躍が目立つ場面が増えた。主軸を担う東江や仲程は、試合後の取材で「次の世代がこれからどう成長していくかが今後のコラソンにとって重要だ」とよく口にした。25歳以下の選手が半数を占めるチームで、世代交代の過渡期に入っていると言える。

 攻撃の起点がベテラン勢であることは今までと変わらない。一方で、昨季入団の依田純真や今季加入した髙橋翼らが要所で好プレーを見せ、勝利を呼び寄せられるようにもなっている。まだ攻めきれない部分があるのは課題だが、それでも存在感は確実に増しており、チームを支える柱となりつつある。

 東江は「若手選手が出場する時間帯で、チームが崩れることなく戦えて、誰が出ても、良い勝負ができるところまで持っていきたい」と来季への期待を込める。

■「総合力」が鍵

 今季は接戦の末、1、2点の差で敗れた試合が三つあり、うち2試合は最終順位がコラソンより下の相手だった。引き分けた試合も1試合あった。

 接戦を落とさないためには、東江監督が掲げる「誰が出ても同じ戦略を遂行できる総合力」が鍵となる。今季はディフェンスがうまく機能し、ボールを奪った後に速攻カウンターがいくつも決まる試合がある一方で、終盤でプレーが連係せず得点が止まる試合もあった。

 東江監督は5日の最終戦の後、「これからどう『勝ち癖』をつけていくか。そのために個々の力をもっと高める。そうすれば組織力が倍増し、上位チームとも戦える。来季はプレーオフに向け、真剣にトップ4を狙っていくことを考えている」と力強く語った。
 (砂川博範)