沖縄県ファミリーサポートセンター連絡協議会の與座初美会長(沖縄市ファミサポセンター長)に、ファミサポ事業の現状や課題、今後に向けた提言を聞いた。 (聞き手・島袋良太)
―事業の現状は。
「各地のファミサポとも恒常的に協力会員が少ない。一方、都市部では依頼会員が殺到している。都市部はアパート住まいの人も多く、預かりスペースの問題から協力、依頼ともに利用をためらうこともある。公共施設を活用した預かりなども広げる必要がある」
―支援者の確保が難しい要因は何か。
「時代の変化が大きい。私たちが沖縄で最初にファミサポ事業を始めたのは約20年前。最初の5年は協力会員が足りないことはなかった。主婦やパートタイマーの女性が支援員を引き受けることが多かった。しかし今はフルタイム勤務でキャリアを積む女性が増えた。協力会員は減り、依頼会員が増えた。時代の変化に制度が対応できていない」
―男性の協力会員は。
「私が活動する沖縄市で言うと全体の1%程度しかいない。ほとんどの親が女性に預けたいと希望する現実もある。すぐに変えるのは難しいが、例えば夫婦で協力会員になるなど少しずつ変えていけるはずだ。学生など新たな協力会員の掘り起こしも必要だ」
―事業の役割について。
「預かり支援を必要とする人がたくさんいる。仕事で親族と離れて住んでいたり、絶縁していたり、ひとり親だったり、さまざまな事情もある。沖縄の『ゆいまーる』は志としてはまだあるが、壊れている実態を直視し、補完する仕組みが必要だ。ファミサポ事業は失われつつあるコミュニティーを再生する試みの一つだ。親が安心して働けることで、貧困問題の解決につながる」
―依頼会員並みに協力会員を増やせるのか。
「ファミサポだけでの解決は難しい側面もある。社会的な子育て資源を充実させる必要もある。沖縄は夜型社会と言われ、夜に働く人も多いのに夜間保育園がほとんどない。そうした施設も一体的に整えていく必要がある」
うるま市や読谷村の工夫とは ファミサポ、高まるニーズにどう応える?