尖閣「エスカレートしていると感じる現象ない」 海保の第11管区本部長、離任会見で見解 那覇


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在任中最後の会見冒頭であいさつする第11管区海上保安本部の一條正浩本部長=3月30日、那覇市港町の那覇港湾合同庁舎

 第11管区海上保安本部の一條正浩本部長は離任前に開いた3月30日の定例会見で、在任期間中の尖閣諸島周辺の情勢について「現場の肌感覚としてエスカレートしていると感じる現象はなかった」と述べた。

 11管によると、2022年に中国海警局の船舶が尖閣諸島周辺の接続水域内で確認された日数は336日、領海内の連続滞在時間は12月に72時間45分を記録し、いずれも過去最多だった。一方で、一條本部長は「相手(海警局)の動きは天候や日本漁船の動きに左右される要素が非常に強い。単独の意思ではないと思う」と述べた。

 その上で「職員の能力・戦術を考えれば現場の対応に不安はないが、当然、相手も研究してくるので、油断することなく訓練をしていかなければならない」とした。

 また、有事の際に、海上保安庁が防衛大臣の指揮下に入る「統制要領」の策定が進められていることについて、「海保と自衛隊の連携に関わることだと思う。それぞれの組織の長所を最大限に生かした最適な役割分担になることを願っている」と述べた。一條本部長は31日付で定年退職を迎えた。
 (金城大樹)