豚熱ワクチンの打ち手拡大 農場従事者も、発生防止へ


社会
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豚熱の感染拡大防止に向けてワクチン接種を進める県の獣医師=2020年3月、国頭村内(県提供)

 2023年度から、養豚農場の従事者も豚熱ワクチンを打てるようにする制度が本格化する。これまでは家畜衛生保健所の獣医師や県知事の認定を受けた獣医師に限られていたが、人手が足りずワクチン接種に時間を要したり、他の業務もあり手が回らなかったりする課題があった。県は希望する農場従事者に接種技術などに関する研修会を開き、打ち手を確保した上で豚熱の発生防止につなげる。

 県内では20年に34年ぶりに豚熱が発生し、同年3月から県が沖縄本島の豚へのワクチン接種を始めた。獣医師の資格を持つ県職員(家畜防疫員)が対応したが、対象は初回接種だけで196農家17万頭に上り、打ち手確保の課題に直面した。

 こうした中、農林水産省が昨年12月に関連指針を改定。農場の従業員らが接種に関する都道府県の研修を受けて認定されれば、「登録飼養衛生管理者」としてワクチンを打てるようにした。

 現在も本島の農場では子豚への接種や、種豚となる繁殖豚への定期接種が続けられている。県によると、接種に当たっている家畜防疫員は今年2月時点で21人。他の業務も抱えながらの小まめな接種は困難な状況にある。

 県はこうした状況を改善しようと、農水省の指針改定を受けて、農場従事者によるワクチン接種へ研修の実施を始めている。

 県の担当者は「県外ではワクチン接種農場でも豚熱発生が確認されている。打ち手を拡充して体制を整えたい」と話した。 (當山幸都)