幼き日、手をつなぎゴールしてくれた父 感動今も 息子の本村さん初出場 【宮古島トライアスロン】


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 【宮古島トライアスロン取材班】第37回全日本トライアスロン宮古島大会(主催・宮古島市、琉球新報社)が16日、本番を迎える。午前7時にスタートしスイム、バイク、ランで各選手がそれぞれの思いを胸に熱い戦いを繰り広げる。競技歴は浅いものの、仲間の後押しを受けて最年少で出場する男子選手、先天性の股関節の疾患を克服してレースに挑む女子選手、小学生の頃に見たゴールテープを切る父の後ろ姿を追い掛け、完走を決意する男子選手など、自然あふれる島を舞台にアスリート魂をレースにぶつける。

家族が作った横断幕の前で活躍を誓う初出場の本村一馬さん=13日、宮古島市

 父が見せてくれた勇姿を今度は自分が―。

 宮古島市平良の農家、本村一馬さん(29)は初めて大会に臨む。一馬さんの父先也(せんや)さん(58)は30歳から大会に10回連続出場した経験を持つ。当時、小学校低学年だった一馬さんの手を引いて、ゴールテープを切った父の姿が今も目に焼き付いている。「疲れ切っているにもかかわらず、きつい顔を見せずに家族と一緒にゴールした。感動だった」と振り返る。

 義理の兄の本村俊貴さん(31)もトライアスリート。宮古島大会に出場した俊貴さんを応援した際、「ひたむきに頑張る選手たちが格好良かった」と選手たちの迫力に魅了されたという。一馬さんは2020年大会にエントリーしたが、新型コロナウイルスの影響で大会が中止になった。それでも気持ちは切らさず、練習を積み重ね、今大会に挑む。すでに島内3カ所には、一馬さんの応援横断幕が掲げられている。

 「苦しい時に見て力を湧かしたい」と気合十分。紅芋の収穫を大会後に先送りにするなど、コンディション調整も万全だ。地元大会でアララガマ魂に火をともす。
 (高辻浩之)