「ママ格好良かったよ」 双子出産経て宮古島トライアスロン挑戦 長崎市の内藤さん、夫と子の支え力に


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家族で大会初参加の(左から)内藤誠さん、桂ちゃん、恵梨さん、蘭ちゃん=16日、宮古島市陸上競技場

 【宮古島トライアスロン取材班】新型コロナウイルスによる中断を経て4年ぶりの開催となった第37回全日本トライアスロン宮古島大会。待ちかねていた全国のトライアスリートは、快晴の空に映える「宮古ブルー」の海や温かく響く沿道の声援を満喫しながら力強く進んだ。ゴールの宮古島市陸上競技場では、感染対策によって伴走に制限があるものの、駆け付けた家族らが選手とともにテープを切り、仲間たちが拍手と歓声で健闘をたたえた。

 「ママ格好良かったよ」。長崎市から出場した内藤恵梨さん(35)は、バイクの制限時間にわずか10分届かず、完走はかなわなかった。バイクのフィニッシュ地点前で待ち受ける夫の誠さん(35)、双子で息子の桂ちゃん(4)、娘の蘭ちゃん(4)が「お帰り」と駆け寄ると、恵梨さんは「もうこれ以上は走れない。限界までやった。ごめんね」と子どもたちを抱きしめ、アスリートの顔から母の顔に戻って涙に崩れた。

 内藤さん一家は今大会、恵梨さんは選手として、誠さんと子どもたち3人はツーリズムボランティアとして大会に参加した。誠さんは海外の大会にも参加するほどトライアスロンに熱を上げていたが、双子の出産を機に引退。代わって恵梨さんが約5年前から各地の大会に参加している。

 練習プランやコース対策を練るマネジャーとして支える誠さん。育児や仕事の傍ら夫婦二人三脚で大会に臨んだ。宮古島大会の参加は初。これまでバイクは80キロが最長で、今大会は123キロの道のり。未知の領域への挑戦だった。「トライアスロンを始め、友人らとの交流が増えた。産後でも女性が新しいことに挑戦できるという自信にもつながっている。子どもたちには何事にもチャレンジするという気概を見てほしい」と話す。

 悔しくも完走は果たせなかった恵梨さん。誠さんは「やれるだけやった。胸張っていい」とねぎらう。涙に暮れる母に蘭ちゃんは「ママ大好きだよ。あめ玉でトロフィーを作ってあげるよ」と優しく言葉を掛けた。「いつの日か、4人みんなで宮古島大会に出場したい」と内藤さん一家の挑戦は続く。
 (高辻浩之)