ボリビアのイノウエ悦子さんが「ウチナー民間大使」に 20年以上、沖縄県人会を支え 「毎回、新しい発見や絆」


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ウチナー民間大使に選ばれたイノウエ悦子さん=ボリビア沖縄県人会事務局

 ボリビア沖縄県人会の事務局を20年以上支えるイノウエ悦子さん(63)=旧姓・安仁屋=が「ウチナー民間大使」に認証された。1954年に琉球政府計画の第1次移民としてボリビアに移住した、那覇市首里出身の父・安仁屋進さんと、第4次移民で小禄出身の母・英子さんの長女として、59年にオキナワ第1移住地で生まれた。琉球政府ボリビア駐在事務所がサンタクルス市に開設された際に、父・進さんが事務員として就任したため家族で同市へ転住した。

 サンタクルス小学校、サンタアナ中学・高校を卒業し、高校卒業後は東京都渋谷区の専門学校「文化服装学院」へ入学し、服装科を卒業した。ボリビア帰国後は、80年から86年までJICAサンタクルス事務所の事務員を務めた。

 オキナワ移住地のオキナワ診療所勤務が決まっていた医師のイノウエ和雄さんと結婚し、3人の子どもに恵まれた。子育てが落ち着いたタイミングで日本語を教える機会をもらい、95年からオキナワ第一日ボ学校で6年間勤務した。夫の診療所勤務が落ち着いた時点で、家族全員でサンタクルス市へ転居。サンタクルス市日本語普及学校で、日本語教師として約10年指導に当たった。

 県人会事務局員となったのは2002年から。日本語とスペイン語で対応し、団体事務の仕事を進める。姉妹友好都市である、沖縄県との円滑な交流を心掛け、諸行事のやりとりや研修生に関する業務、連携事業の推進を担う。ブラジルやアルゼンチンなどの隣国と交流して、県人会の発展に携わっている。

 県人会の仕事はボリビアでの法的手続きやメールのやりとり、役員・会員との連携など幅広い。「毎回新しい発見や出会い、絆が生まれている。サンタクルス市に住んでいても移住地とつながっていることを幸せに思っている」と話す。今後について「日系社会、ウチナーンチュ社会が必要としている事柄にサポート活動などできたら」と展望を描いた。(安里三奈美通信員)