沖縄市長、公営火葬場建設に「理解を」 市北部3地域への説明会で 住民ら必要性に理解も負担の大きさ訴え


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公営火葬場の建設計画について説明する桑江朝千夫沖縄市長(左列手前)ら市職員と市北部地域の住民ら=4月22日夜、沖縄市農民研修センター

 【沖縄】沖縄市が市池原に建設を予定している新たな公営火葬場について、市は4月22日、建設予定地に近い市北部3地域の住民を対象とした事業説明会を市農民研修センターで開いた。桑江朝千夫市長や市の担当者が出席し、基本計画の策定後に2024年度に実施設計、25年度に建設工事、26年度に供用開始する日程を示した。住民の多くは市北部は米軍嘉手納基地の騒音や米軍の倉庫群移転、廃棄物処分場のごみ山問題、自衛隊の新施設整備などの問題を抱えていると訴え、負担軽減や住みよい地域づくりに向けた施策を求めた。

 建設予定地は市池原の倉敷ダム近く。参加した池原自治会の喜友名朝敬会長は、池原地域は陸上自衛隊の補給拠点整備なども予定され、住民負担が大きくなっていると訴えた。「防衛省の周辺整備予算は街なかで使われているのではないか。北部から要望を言っても、市は聞いて終わるだけではないかと危惧している」と述べ、具体的な負担軽減策や北部地域の環境改善策を求めた。

 桑江市長は「迷惑施設が集中している現状を見ないふりはしていない。だが火葬場整備はどうしても理解してほしい。北部の発展に尽力していきたい」と述べた。平田嗣巳副市長は「松本、知花、登川の公民館の改修や建て替え、道路整備などを進めていきたい」と述べ、生活環境の改善を進める考えを示した。

 市はこの日の説明会で、市に現在ある火葬場が老朽化が進んでいることで、他市町村で火葬をする事例が多く生じていると説明。これに伴い沖縄市民の火葬待ち日数が増えていることや、割増料金を支払う費用負担が生じていると説明し、建設の必要性を強調した。

 市は(1)敷地面積1万1千平方メートル以上(2)建物面積2800~3千平方メートル程度(3)市内に葬祭ホールが多くあるため葬祭ホールは整備せず火葬場のみ整備する(4)炉は6基―などの整備方針を説明した。

 住民からは火葬場の公益性や必要性には理解を示す言葉が多かった一方、市北部地域に建設する必要性を問う声や、市北部の振興につながる施設を誘致したいという声が相次いだ。
 (島袋良太)