住民ら機体の損壊に衝撃、作業見つめる 飛行記録「早く分析を」 陸自ヘリ引き揚げ


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宮古島沖の事故現場海域から引き揚げられた陸自ヘリの機体=2日午前11時48分(共同通信社ヘリから)

 宮古島沖で消息不明となった陸上自衛隊のヘリコプターの主要部分が2日、伊良部島と池間島の間の海域から引き揚げられ、地域住民は大きく損壊した機体に衝撃を受けた。陸自は回収作業をおおむね終え、見つかったフライトレコーダーからデータを抽出するなどして事故原因を特定する方針だ。乗組員10人のうち発見されているのは6人だが、引き揚げた機体に人の姿は確認されなかった。残る4人の捜索は続く。

 【宮古島】宮古島市沖の海域で消息を絶った陸上自衛隊のヘリコプターの事故から3週間以上たった2日午前11時45分、民間作業船「航洋丸」によって機体の主要部分が海底から引き揚げられた。バラバラになった機体が現れ、事故の衝撃の強さを物語った。現場海域を一望できるビーチや高台には地域住民や報道陣が駆けつけ、かたずをのんで引き揚げ作業を見つめた。

 防衛省・自衛隊は午前8時20分ごろ、民間作業船「新世丸」から無人潜水機(ROV)を投下するなど、引き揚げの準備を進めていた。周辺海域の波は前日よりも穏やかだった。午前10時40分ごろ、ROVを引き揚げた新世丸が北側に移動すると、代わって航洋丸が入った。航洋丸の甲板では乗組員が作業する様子が確認された。

 午前11時25分ごろ、航洋丸の船上で作業員がビニールシートを広げると、その20分後、網に包まれた機体が航洋丸のクレーンでゆっくりと船上に引き揚げられた。報道各社は上空から作業の様子を撮影し、原形をとどめないほどバラバラになった機体を捉えた。燃料タンクは大きく破損し、胴体部分はねじ曲がっていた。かろうじて、自衛隊機を表す日の丸のマークが確認できた。

 作業員はすぐにブルーシートを機体にかぶせ、航洋丸は宮古島市の平良港に向けて航行した。池間島から双眼鏡などを使って作業の様子を見つめていた70代の男性は「機体がバラバラってことは相当な衝撃だったんだろう」と言葉少なだった。

 宮古地区自衛隊協力会の与那城敏副会長は「事故が起こった日から落ち着かない日々が続いた。どのような経緯で事故が起こったのか、フライトレコーダーの分析結果を早く知りたい」と話した。
 (友寄開)