かかりつけ薬局と薬薬連携 切れ目なく管理 安心に <じぶんごとで考えよう HIV/エイズ>6


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 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染が分かり、抗HIV薬の服用を始めると、毎日欠かさず飲み続ける必要があります。きちんと服薬することで、健康を維持し、日常生活を送ることができます。

 近年、HIV患者の長期療養に伴い、加齢に関連した生活習慣病が増えたことで内服するお薬の数が多くなる傾向にあり、問題となっています。

 薬剤師は、複数診療科受診による重複投薬、抗HIV薬との相互作用の有無、副作用や飲み忘れの有無を確認し、長期的な服薬を支援しています。

 現在、拠点病院集中型のHIV診療から、地域と連携した診療体制への移行に向けた取り組みが行われており、地域の調剤薬局の薬剤師が移行の担い手となることが期待されます。

 その取り組みの一つとして、国は「かかりつけ薬局」を推進しています。地域全体で高齢者の健康を支える医薬分業のメリットを最大限に生かすため、服薬情報を一つの薬局でまとめて管理し、薬を安全・安心に使用するためのサポートをするもので、「かかりつけ薬局」の地域への移行は、HIV患者にも多くのメリットをもたらすと思われます。

 現に琉球大学病院のHIV患者の大部分は病院に隣接する門前薬局で薬を受け取っています。離島や遠方から通院している方もいますが、今後は高齢化により、通院が困難になると予想されます。

 またHIV患者は服薬歴が記録されたお薬手帳の利用率が一般層より極端に低いことも分かっていることから、かかりつけ薬局とHIV患者との長期的な関わりは、相談の受け皿や機会が増え、医療機関と患者の薬物療法に関する情報共有・連携をスムーズに行う上でとても有用です。

 病院と薬局薬剤師の連携は「薬薬連携」と呼ばれています。入院時、退院時、通院時の薬物療法など切れ目のない管理は、治療効果や患者の予後の向上に繋がります。「薬薬連携」や「かかりつけ薬局」について幅広く知ってもらい、薬剤師が最も身近な医療者として、患者に認知されることを願っています。

(大田久美子、琉球大学病院薬剤部薬剤師)