12月1日 世界エイズデー 差別、偏見ない社会へ<じぶんごとで考えよう HIV/エイズ>7


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 世界保健機関(WHO)は、1988年に世界レベルでのエイズまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見を解消することを目的として、12月1日を「世界エイズデー」と定め、エイズに関する啓発活動等を行っています。

 今年のキャンペーンテーマは「このまちで暮らしている。私もあなたも。12月1日は世界エイズデー」。HIV陽性者もそうでない人も同じ社会で暮らしており、誰にとっても人ごとではないということを伝えています。

 HIVの治療薬である抗HIV薬の進歩によって、HIV陽性者の予後が改善され、HIV陽性者は治療の早期開始・継続によりエイズの発症を防ぐことができ、HIVに感染していない人と同等の生活を送ることができるようになりました。

 また、治療を継続して体内のHIVウイルス量が減少すれば、HIV陽性者から他人への感染リスクがなくなる「U=U」(Undetectable=Untransmittable 効果的な治療を続けていればHIVは感染しない)ことも確認されています。

 医療の発展とともに「HIV/エイズは死に至る病」という認識から、「HIV/エイズは慢性疾患のひとつ」と言われるように変わってきました。ですが、そうしたHIV/エイズの正確な情報が一般社会に十分に伝わっているとは言えず、そのことがHIV感染に不安がある人を検査や治療から遠ざけています。また、差別や偏見を招く要因の一つになっているとも言われています。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、孤立・孤独が他人事ではなくなってきた現在、ひとりでも多くの人がHIV/エイズのことを自分事として捉え、HIV/エイズに関する検査や治療、支援などの知識を身につける機会として、正しい知識の普及を通じ、HIV検査の受検促進や差別・偏見の解消につながる社会になればと思います。

 沖縄県では外部委託という形で、医療機関で2022年11月15日から12月15日の1カ月間、匿名でHIVスクリーニング検査・梅毒検査を実施します。受検料は500円です。詳細は沖縄県ワクチン・検査推進課へお問い合わせください。

(前田サオリ、HIV感染症指導看護師)