遺伝性乳がん卵巣がん、当事者団体が那覇で初会合 娘やパートナーの姿も


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄支部の初会合を行う海野利恵支部長(左端)と太宰牧子理事長(左から2人目)ら

 遺伝性乳がん卵巣がん(以下HBOC)の当事者団体「NPO法人クラヴィスアルクス沖縄支部」が4月22日、那覇市真嘉比の那覇西クリニックで初会合を開いた。クラヴィスアルクス理事長の太宰牧子さんと同法人沖縄支部長の海野利恵さんが進行役を務め、会場とオンライン上に当事者や家族ら約10人が集った。

 クラヴィスアルクスは2014年の発足以来、東京本部や関西、岡山支部などで活動の輪を広げてきたが、これまで沖縄からのアクセスは困難だった。海野支部長は「沖縄でも意見交換し合い、みんなで支え合って知識を深めていければ」とあいさつした。

 会合では「BRCA1」「BRCA2」遺伝子のいずれかに変異が起こっていないかを確かめる遺伝学的検査についての知識や、当事者と家族との関係のあり方について、それぞれの経験を踏まえて情報が共有された。

 沖縄の会場から参加したがん患者の当事者のうち、すでに遺伝学的検査を受けHBOCと診断されている人は3人で、検査をためらっている人もいた。オンラインで参加した関西支部のメンバーは、検査や抗がん剤治療の経緯やがんの転移・再発、新たな発生を予防するためのリスク低減手術の経験、同法人での活動の様子などを会場の参加者に語った。

 HBOCの当事者には本人の症状や心情だけでなく、血縁関係のある家族や親族のがん発生リスクにどのように向き合うかという懸念もある。会合には当事者の娘やパートナーの姿もあり、がん発生の可能性がある子どもにHBOCについて説明した際の心境や、子どもの将来に対する不安を複数の人が吐露した。他にも、適切な治療につながるための相談、抗がん剤治療時の苦悩や気分転換の方法など話題は多岐にわたり、泣き笑いを交えながら初会合は閉会した。

 参加した当事者は「苦しいときに海野さんに話を聴いてもらったことで救われ、治療に向き合えた。会を立ち上げていただいてすごくありがたい」と感謝の思いを伝えた。

 同支部は今後、月に一度か少なくとも2カ月に一度は会合を開くという。問い合わせはメールアドレスclavisokinawa@gmail.com、電話098(858)5557。
 (西田悠)