宮古沖で沈没の英国帆船・プロヴィデンス号の模型を制作、市に寄贈 池間出身の新崎さん


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プロヴィデンス号の模型を大城裕子教育長(左)に贈呈する新崎寿浩さん=4月20日、宮古島市総合博物館

 【宮古島】沖縄県宮古島市池間出身の新崎寿浩さん(72)=読谷村=が、1797年に宮古島沖の八重干瀬(やびじ)で座礁、沈没した英国帆船「プロヴィデンス号」の38分の1スケールの模型を製作した。新崎さんは4月20日、市総合博物館を訪ね、完成した模型を大城裕子教育長に贈呈した。同博物館で6月中旬まで展示している。

 新崎さんらによると、プロヴィデンス号は、探検船として世界各地を航海。現在の北海道室蘭市に寄港し、1797年5月に八重干瀬で座礁し、沈没した。沈没した際、池間島の住民が船で救助に向かい、乗組員に温かいもてなしをしたという。乗組員は無事帰国した。

 船長が後に出版した航海記で池間島での体験に触れ、宮古の人を「もてなしをして、対価を求めない民」と紹介し、宮古が広く知られるきっかけとなった。

新崎寿浩さんが1年以上を要して製作したプロヴィデンス号の模型

 新崎さんは国内外でプロヴィデンス号の資料を集めて製作に取りかかり、完成までに1年以上を要したという。

 贈呈式で新崎さんは「博物館に贈呈できることを非常にうれしく思っている。この模型が宮古島の観光振興に寄与してくれればと思う」と話した。

 大城教育長は「模型は、対価を求めない私たちの祖先を誇りに思うきっかけにもなる。教材として活用し、子どもたちにも伝えていきたい」と話した。

(友寄開)