伊佐川、ベンチプレスで日本新記録 股関節の故障を乗り越え快勝 全日本パワーリフティング 大城、小渡、照屋も優勝


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 パワーリフティングの第52回男子・第47回女子・第42回ジュニア・第41回マスターズ・第22回サブジュニア全日本選手権大会が20日、沖縄市体育館で始まった。男子マスターズ4(70~79歳)59キロ級は伊差川浩之(POWERSPORT)が、ベンチプレスで日本新記録となる135キロを挙げてトータル310キロで優勝し、10月にモンゴルで行われる世界エクイップマスターズパワーリフティングの出場権を獲得した。

 男子マスターズ5(80歳以上)59キロ級は大城新順(大宜味村出身、千葉県在住)がトータル260キロで、マスターズ3(60~69歳)66キロ級は小渡晋(すすむ)(GINOWANGYM)がトータル457・5キロで栄冠を手にした。女子69キロ級は照屋利恵(那覇ジム)がトータル400キロを挙げて一般で準優勝、マスターズ1(40~49歳)で優勝した。


ベンチプレスで日本新記録を立てた男子マスターズ4の59キロ級の伊差川浩之=20日、沖縄市体育館

 優勝30回の伊差川浩之(POWERSPORT)が10年ぶりに全日本選手権に帰ってきた。

 前回出場したのは2013年。全日本優勝、世界5位に輝いたが、14年に変形性股関節症の診断が下る。15年と20年に手術したが回復せず、今はつえを突き、長距離を移動する場合は車いすを使う状態に。24年に人工股関節に置換することを決めた。「競技の“終活”。できることは全てする」

伊差川浩之

 自己最高はスクワット232・5キロ、ベンチプレス188キロ、デッドリフト243キロ。今大会の記録は遠く及ばないが「これまでの練習以上の結果が出せた」と満足げだ。日本新記録を立てたベンチプレスは「股関節は故障しているが、肩と肘は元気だ。もうちょっといけるかな」と10月の世界選手権に向けた手応えも口にした。人工股関節置換は競技を続けられなくなる可能性が極めて大きいが「3~4年はリハビリに徹する。その後、再び出られるなら出たい」と力を込めた。

 (安里周悟)