N高3年の津波夢乃さん(18)=読谷村=は、「気持ちの言語化」が苦手な自身の経験を基に、感情などを言葉で伝えるためのノート「きもちのナビ帳」を作成した。1年半かけて作った。商品化に向け、30日まで作成費用を募るクラウドファンディング(CF)に挑戦している。広汎性発達障がいがあり、「気持ちを外に発散できずに抱え込む人が少なくなればうれしい」と支援を呼びかけている。
「きもちのナビ帳」はA4サイズ。楽しい、悲しいなどの気持ちを数直線で数値化したり、「いちばん大きいきもち」「きもちを色で表す」など九つの質問項目に答えたりすることで、内面を言葉にしていく。回答に迷った時の記入例もある。視覚からの刺激を抑えるための工夫などとして、紙は光の反射を極力抑える薄い黄色とし、文字は紙との明暗の差が出にくい灰色にした。
作成のきっかけは高校1年の夏、就労や進学を支援する施設を利用していた時だ。ある日「行きたくない」と思ったが、施設職員から休む理由を尋ねられても、うまく言葉にできなかった。職員と共に困ってしまい、「自分の気持ちを言語化して伝えられるようになりたい」と作成に取り組んだ。
試行錯誤を重ねて完成させた後、青少年センターに通う人ら40人がノートを使った。すると、「こんなものがほしいと思っていた」と感想を寄せられ、必要としている人がほかにもいると考えるようになった。
当初は発達障がいがある人を想定していたところ、「汎用性がある」との声もあった。津波さんは「気持ちの表現が苦手だと感じる人にも使ってほしい」と語った。
津波さんに賛同したN高の生徒らと、今年1月に商品化や広報に取り組む団体「ゆいりてらす」を発足させた。メンバーは県外在住だが、オンライン上で会議し、SNSアカウントで発信するなど、実現のため奔走している。CFサイトは「for Good!」。
(高橋夏帆)