剣道、興南勢が個人戦を制覇 女子の渡名喜「いちかばちか」延長制す 男子の手登根、大胆に仕掛け逆転<県高校総体2023>


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 沖縄県高校総合体育大会(県高校体育連盟、県教育委員会主催)が27日に本格的に開幕し、県内各地で集中開催される23競技を行った。


 上段の構えから意を決して大きく踏み込んだ。左手一本になりかけるほど腕を伸ばした「いちかばちか」の攻めが面を捉えた。女子個人決勝戦。渡名喜優美佳(興南3年)が延長戦を制し、個人戦は県総体初出場で初優勝に輝いた。

女子個人決勝 左手を伸ばしメンを決める渡名喜優美佳(左・興南)=27日、那覇市の興南高校(又吉康秀撮影)

 相手は1年生。シード選手を次々と破るなど快進撃を続け勢いに乗っていた。自分より長身でやりにくい強敵だったが、気持ちで負けなかった。

 背中を押したのは励まし続けてくれた仲間たちだった。大会直前まで稽古で負け続けた。「興南代表として出ていいのか。罪悪感があった」。落ち込みは大きかったが、同学年や後輩の「できるよ」「やるしかない」という声掛けで前を向けた。準々決勝で妹と対戦できたことも大きかった。「妹に負けてられない」とスイッチが入ったという。

 決勝も仲間の声援で冷静に試合ができた。相手は面に対する防御が「一つしかない」と見極め、延長戦の一本につながった。高校から挑戦した上段の構えは「まだ手応えはない」が、少しは成長を感じられたよう。目指すは男女で4冠。「団体戦も負けたくない」と固い決意だ。

(謝花史哲)


男子個人決勝 メンを狙う手登根煌青(興南)(又吉康秀撮影)

 興南勢対決となった男子個人決勝は副主将の手登根煌青(3年)が主将の源河諒大(同)に逆転勝ちして念願の優勝をつかみ取った。昨年の総体は準優勝。高校では5度、決勝に挑み優勝は1回だけ。最後の総体は「絶対優勝したかった」。準優勝で苦杯をなめ続けた悔しさを晴らし「良かった」と笑みをこぼした。

 激しいせめぎ合いが続いた終盤。先に小手一本を取られた。後がなくなり「大技で行くしかない。打たれてもいいから思い切り」と大胆に仕掛けたことが奏功した。

 動作に変化をつける「担ぎ面」を決め、再開直後の瞬間を狙った小手で畳み掛けた。「この1年悔しさを忘れずにやってきた。全国総体でも8強以上に入りたい」と、今度は昨年1回戦負けの借りを返しに行く。

(謝花史哲)