親子二人三脚で世界一に挑む SUP選手権で男子2 冠の荒木 「1ミリのミスも許されず」


社会
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男子ディスタンスとスプリントで1位となった荒木珠里=5月21日、静岡県下田市の白浜大浜(Akira Mizutani撮影)

 SUP(スタンドアップパドルボード)の第2回JSUPPC「サップ&パドルボード選手権大会」が5月20、21の両日、静岡県の白浜大浜などで行われ、女子は奥秋李果(SIC MAUI)がディスタンス(約15キロ)、テクニカル(約4キロ)、スプリント(200メートル)の全3種目で1位に輝いた。男子は荒木珠里(NHK高等学園2年、KANAKA沖縄)がディスタンスとスプリントで2冠。テクニカルは2位となった。田口頼(STARBOARD)はテクニカル1位、ディスタンス2位。荒木汰久治(KANAKA沖縄)はディスタンス3位だった。

 昨年の世界選手権はディスタンスとテクニカルに出場し、2種目とも史上最年少16歳で金メダルを獲得した荒木珠里(KANAKA沖縄)。今年の日本代表選考レースはスプリントにも出場し、いずれもトップでゴールした。テクニカルの順位こそレース中のトラブルから2位に繰り下げられたが「3種目全てで余裕をもってゴールできた」と納得の内容となった。

荒木 珠里

 15歳からワールドツアーに参戦してきたが、体格差からスプリントは好成績を残せていなかった。200メートルという短距離勝負は、こぐ技術だけではなくビーチを駆ける体力が鍵となる。17歳になって身長、体重ともに急成長し、力がようやく技に追い付いてきたレースを「1ミリのミスも許されなかったが、練習の成果を完璧に発揮できた」と振り返る。

 世界選手権ではスプリント王者のコナー・バクスター(米国)に挑む。「この結果に甘んぜず、より厳しい気持ちで、自分を追い込んでいきたい」と闘志を燃やす。

 ディスタンスには父・汰久治も選手として出場した。結果は3位で日本代表は厳しい状況だが、親子二人三脚で世界選手権全3種目制覇という前代未聞の記録に挑んでいく。
 (安里周悟)


ゴール直前 難所で勝負 田口、2位も「自信に」

男子テクニカルで1位となった田口頼(提供)

 約20メートルの強い風、約3メートルの高い波の下で行われたディスタンス(約15キロ)。田口頼(STARBOARD)はゴール目前、岩礁がある難所で勝負に出た。「トップとの差が200メートルくらいまで縮まっていた。ワンチャンいけるかもしれない」

 安全を優先すれば迂回(うかい)するコースを選ぶところだが、突っ切るコースに挑む。波が砕けた時に顔を出した岩の位置を把握し、避けながら突っ切った。逆転はできなかったが2位でゴールし「経験豊富な選手が多かったので、もっと差をつけられると思っていた。自信につながった」と達成感を口にした。

田口 頼

 次に控えるのは7月にポルトガルで行われるワールドツアー第2戦。「荒天での技術は足りないことがよく分かった。この経験を糧にしたい」とことし一新した機材とともに大海原に挑んでいく。
 (安里周悟)