全港湾、自宅待機を当面延期 石垣新港地区のPAC3展開 説明に訪れた自衛隊に駐屯地への撤収求める


この記事を書いた人 琉球新報社
全日本港湾労働組合沖縄地方本部の組合員にPAC3の展開について説明に訪れた陸上自衛隊の関係者ら(奥)=7日、那覇市内

 石垣市南ぬ浜町の新港地区への防衛省・自衛隊による地対空誘導弾パトリオット(PAC3)展開を巡り、全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄地方本部が組合員を自宅待機させる方針を示したことを受け、陸上自衛隊担当者らが7日、那覇市内で組合関係者と面会し、安全性について説明して展開に理解を求めた。組合側は「安全だという認識は持てない」と駐屯地内に撤収するよう重ねて求めた。自衛隊が撤去時期を検討する考えを示したことを受け、組合員の自宅待機の実施を8日以降は当面延期する考えを示した。

 面談は冒頭を除き非公開で行われた。自衛隊側は、ミサイル発射時に火花などが飛ぶエリアを図示し、それ以外のエリアの安全性を強調した。

 自衛隊側は配備候補地について新港地区のほか、陸自石垣駐屯地、旧石垣空港跡地の3カ所があったと説明。旧石垣空港については、影響を受ける地権者の承諾を得る必要があるとして、引き続き調査、検討を進める姿勢を示したという。

 新港地区への配備について、自衛隊が市など行政機関に説明するにとどめた点について、組合側が「(自衛隊が関係者に)説明すべきだ」と指摘すると、自衛隊側は「すみませんでした」とおわびしたという。

 面談後、記者団の取材に応じた同本部執行委員長の山口順市氏は「これまで一切安全性を担保する説明がなかった」と自衛隊側の姿勢を疑問視した。

 組合側は6日、PAC3の新港地区への展開を受け、組合員の自宅待機を7日から実施する方針を決めた。だが、7日午前8時ごろ、会社側から自衛隊との協議の場を設定したとの連絡を受けた。職場の安全確保のために動いた社側の動きを評価し、7日の自宅待機は見送った。今後は自衛隊の回答を受けて対応を検討するという。

 一方、沖縄県基地対策課は7日、沖縄防衛局に対し、PAC3の展開について安全管理に万全を期し、住民や事業者、港湾労働者に丁寧な説明を行うよう口頭で求めた。
 (知念征尚、照屋大哲)