フィリピンの反戦平和活動家「市民連携による戦争回避」訴え ベロー氏、那覇で講演


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講演するウォルデン・ベロー氏=10日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるる

 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」は10日、フィリピン人学者で反戦平和活動家ウォルデン・ベロー氏を招き、「沖縄とフィリピン アメリカ新冷戦の最前線」をテーマに那覇市の県男女共同参画センターてぃるるで講演会を開催した。約80人が参加した。ベロー氏は、中国包囲軍事網を構築しようとする米国について「自国の経済悪化を背景に、アジアの経済的結び付きを断ち切ろうとする非合理的な動きだ。周辺地域の市民が戦略的連携を組むことで、米国の危険なゲームを止めることができる」と述べた。

 フィリピンでは1991年、上院が新基地協定を否決し米軍が撤退したが98年以降、再び戻った。今年に入って比政府は新たに四つの基地を米国に提供し、その合意に対する大規模な市民デモが展開されている。

 ベロー氏は、米国が経済的に台頭する中国を抑えるため、日本や韓国、比の従属的政府を巻き込み軍事的囲い込みを図っているとの見方を示した。一方、南シナ海での中国の一方的な海洋進出について「周辺国と話し合い非軍事ゾーンなどを形成しなかった。しかし基本的に中国がやっているのは米国に対する防衛だということは認識しなければならない」と指摘。「衝突が起きれば、攻撃されるのは米軍基地が配備された日本全体だ」とも言及した。

 最後に「沖縄とフィリピンにおける日米の軍備増強に反対し、戦争の回避を求める連帯声明」を採択した。(1)軍備増強中止(2)軍縮による緊張緩和と戦争回避(3)中国との国際的協議(4)米軍基地の東アジアからの撤退―の4点を求めている。今後、日比両国で市民の賛同を募り、ネットワークを築く考え。

(岩切美穂)