公営住宅入居の保証人、不要にしても「特に支障ない」 規定削除した県内8自治体が回答 事務の円滑化や負担軽減のメリットも


この記事を書いた人 琉球新報社

 公営住宅入居の際に保証人を必要とする条例の規定を削除した自治体へ県司法書士会(上原修会長)が調査したところ、回答した8自治体全てが、規定削除による支障について「特に生じていない」と回答した。上原会長は「規定を削除していない自治体は、家賃収納率が低下することなどを懸念している。今回の調査で実態が明らかになり、(条例改正への)後押しとなると思う」と話した。同様の調査は初めてという。

 司法書士会によると、現在県内では県と13市町村が保証人規定を削除している。調査は今年3月28~4月30日にかけて、県と11市町村を対象に実施。県と国頭村、那覇市、豊見城市、与那原町、八重瀬町、名護市、糸満市から回答を得た。県は、支障について「その他」も選び「滞納家賃の納付について、連帯保証人からの納付が期待できない」と答えた。

 規定を削除したことによる効果について、名護市と与那原町が「保証人を確保できないことによる入居辞退などの解消」と答えた。那覇市など5市町が、審査事務の軽減などによる自治体側の事務の負担軽減、円滑化をメリットに挙げた。

公営住宅入居時の保証人規定を削除した自治体へのアンケート結果を発表する県司法書士会の安里長従総務部長(右)、上原修会長(中央)、権利擁護委員長の新城優子氏=15日、県庁記者クラブ

 上原会長は「保証人がいることで長期間滞納を放置してしまうケースもあった。保証人をなくすことで、滞納者に会って福祉につなげたり悪質な場合は厳しく対応したりという適正な管理につながる」と話した。

 単身の入居者が死亡した際に残された家財などの移動や処分などに関する事務処理要領については、8自治体全てが「定めていない」と回答した。

 保証人の問題に取り組んできた県司法書士会総務部長の安里長従氏は「離婚して最初に困るのは住まい。保証人がおらず受け付けてもらえないという相談を受けたことがある」と話し、「保証人が不要な自治体は増えているが、まだまだ周知が不足している。住まいの貧困の解消に向けて、さらに関心を持ってほしい」と話した。
 (沖田有吾)