第32軍司令部壕は「沖縄戦の永遠の語り部」 保存・公開求める会が慰霊の日に合わせ声明 「軍隊は住民守らない」思い起こす日に


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「慰霊の日」に向けた声明を発表する「第32軍司令部壕の保存・公開を求める会」の瀬名波栄喜会長(中央)、垣花豊順副会長(左)、高山朝光副会長=19日、県庁記者クラブ

 第32軍司令部壕の保存・公開を求める会の瀬名波栄喜会長(94)らは19日、那覇市の県庁で会見し、23日の「慰霊の日」を前に「ひとりひとりの尊厳に思いを致し、戦争をしない・させないために」と題したアピール(声明)を発表した。「命どぅ宝」を心に刻み、沖縄から世界の恒久平和を訴えようと呼びかけた。慰霊の日に合わせた同会の声明発表は初めて。

 声明では、沖縄戦で第32軍が、戦闘の継続・長期化をさせるため本島南部に撤退したため、戦没者などが激増したと指摘。歴史に向き合い、現在と未来を考えることの大切さを上げ、「慰霊の日は『軍隊は住民を守らなかった』という史実を改めて思い起こす日でもある」とした。「沖縄戦の記憶からたぐり寄せた『命どぅ宝』を心に刻み、世界の恒久平和を強く訴える」と呼びかけた。

 瀬名波会長はロシアによるウクライナ侵攻をはじめとする国際情勢や、台湾有事が取り沙汰されている現状を危惧した。「琉球列島で沖縄戦前夜のように自衛隊が増強され、ミサイルが準備されている。八重山、宮古が要塞化されている」と懸念を表明。32軍司令部壕の保存・公開が「沖縄戦の永遠の語り部になる」と史実の継承を訴えた。
 (座波幸代)