【バスケW杯座談会】開催まで2カ月 JJさん、安里さん、金谷さん「応援団」が語る期待と楽しみ方


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ワールドカップの魅力を語り合った(左から)金谷康平さん、安里幸男さん、JJさん=15日、沖縄市の沖縄アリーナ(大城直也撮影)

 8月25日に開幕する日本、フィリピン、インドネシアが共催する「FIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)」まであと2カ月。日本代表は沖縄アリーナで25日のドイツとの初戦を皮切りに、27日にフィンランド、29日にオーストラリアと戦う。さらにスロベニアやカボベルデ、ジョージア、ベネズエラも沖縄に集結し、世界最高峰の試合を行う。

 W杯を盛り上げようと県内の有志らで結成した「バスケットボールワールドカップ応援団」のフリースタイルバスケットボールのギネス記録を持つJJさん、辺土名高、北谷高を全国3位に導くなど、県内の高校バスケを指導者としてけん引してきた安里幸男さん、沖縄バスケット情報誌「アウトナンバー」GMの金谷康平さんに集まってもらい、沖縄とバスケットの関係性や沖縄アリーナやそこで行われるW杯の楽しみ方などを語ってもらった。

(聞き手・名波一樹、屋嘉部長将)(協力・沖縄アリーナ) 
 

■W杯とは→ 県民にすごい刺激(安里)/ 世界の注目沖縄に(JJ)

―皆さんにとってW杯とは。

 安里幸男さん(以下、安里) 世界一を決める大会で世界最高レベルの大会。それが沖縄で開催されるというのは、今後ないかもしれない。素晴らしい大会で日本にとっても、特に沖縄県民にとってはすごい刺激になる。世界最高水準のプレーに直接触れることができるチャンス。(昨年末公開の映画)THE FIRST SLAM DUNKに始まり、(琉球ゴールデン)キングスの優勝が花を添え、W杯につながる。ことしの沖縄は本当にバスケットの年となっている。

 JJさん(以下、JJ) 国内外のバスケが沖縄に集結し、今まで努力してきた方々が日の目を見る瞬間になる。世界から注目を集める瞬間が沖縄にあることで、何かチャンスがあるんじゃないか。いろいろな人が注目を浴びるので、みんなで盛り上げていきたい気持ちがある。

 金谷康平さん(以下、金谷) 2006年に日本で(W杯の前身にあたる)世界選手権があったが、当時バスケットは日本ですごくマイナーだった。その年はサッカーのワールドカップがドイツであって国民が楽しみにしていた。バスケは行われていることすら知らないという現実があった。そこから17年たって、この国のバスケは大きく変わったと感じていて、その一つの集大成になるのが、今回のW杯だと思う。

ワールドカップの魅力を語り合った(左から)JJさん、安里幸男さん、金谷康平さん=15日、沖縄市の沖縄アリーナ内「アリーナカフェ」(大城直也撮影)
JJさん 

■沖縄とバスケ→ 県民が熱狂の渦に(JJ)/地域に根付く沖縄(金谷)

―沖縄にとってバスケットはどのような存在の競技か。  

JJ 高校時代にバスケを始めた。県総合運動公園体育館での県大会決勝での盛り上がり、会場がパンパンになっている中で試合をする。「本当に沖縄の人ってバスケ好きだな」と毎回思わされた。キングスがことし日本一をとって、県民が熱狂の渦の中にいる。この盛り上がりの流れがW杯につながることは、運命というか、必然的に決まってたんじゃないのと思う。

安里幸男さん 

安里 僕が北谷で監督をしていた頃は観客席は超満員で当時はコートのそばまで入れたので周囲を囲うくらいお客さんが入るくらいすごい熱狂的だった。自分のチームだけでなく、相手が良いプレーをしたら拍手するし、まずいプレーにはブーイングする。喜怒哀楽がはっきりしてメリハリがきいている。あのような熱い思いが県民にはある。

 

金谷康平さん 

金谷 沖縄のバスケットの歴史調査もやっており、県外の方から約100年前に沖縄にバスケを持ってきた人がいた。その100年後にキングスが優勝し、W杯があり、ホストシティーロゴに首里城が採用された。本当に運命というか、神がかっている。地域でバスケットが根付いているのはこの国で沖縄しかないと思う。沖縄が日本のスタンダードを示し続けている。次の100年もトップを走って行ってほしいし、そのポテンシャルや役割が沖縄にはあると思っている。

■注目ポイント→ 会場に足運んで(金谷) / 沸き上がる応援(安里)

―沖縄アリーナやそこで行われるW杯の楽しみ方やポイントは。

金谷 子どもと父母や祖父母、3世代での風景が沖縄アリーナにある。家族で楽しんでほしいし、家族でなくてもパートナーや友達とかみんなで楽しめる場所にしてほしい。一番は会場に足を運んで生で見られたら最高。PVも用意されていると思うので、そこでみんなで見るのもいい。バスケットに関わってこなかった人も、取りあえず行ってみると出会いが生まれ、感じるものが必ずある。どこか楽しそうなところに行ってください。

JJ 沖縄アリーナに入った瞬間、会場の規模感に圧倒される。W杯では中の空間だけでなく、外の空間も交流する場所にしてほしい。海外のお客さんとも一緒に交流できるみたいな感じ。僕はパブリックビューイング(PV)でのパフォーマンスをやる。試合は楽しいが、PVとかイベントで楽しめるのがあると思う。

安里 (沖縄アリーナは)非日常だから入った瞬間に感動する。音楽も含めて素晴らしく、よく考えられている。国内では最先端をいっている。それだけにいろんな方に見てもらいたい。W杯もいろんな方に見てほしい。キングスのブースターは魂があって心の底から沸き上がるような応援をしている。キングスの応援の仕方を知っている沖縄の人が、(W杯で)日本代表に声援を送ってほしい。

JJさん

■日本代表と注目国→ 八村出場するか(金谷) / スロベニア注目(安里)

―気になる国や日本代表の注目ポイントは。  

JJ 日本代表は史上最強のチームが出来上がっている。世界でどれだけ通用するのかが本当に楽しみ。どこまで勝ち上がっていくのか注目している。日本はレイカーズで活躍している八村塁が中心選手になると思う。日本をどう引っ張っていくのか、世界に対し、どれだけ得点を重ねられるのかに注目している。  

金谷さん

金谷 沖縄より人口の少ないカーボベルデ。そのような国がアフリカ予選を勝ち抜いたことはとんでもないこと。そもそも名前も聞いたことがないような国だったので注目している。日本と同等、それ以上に応援したい。日本代表の八村はどうなるのか。来ない可能性があるが、自由な論議が行われるのが楽しいし、それがいい。最後は日本のチームメイトが「出てくれ」と説得して、沖縄アリーナのコートに立ってほしい。

 

安里さん

安里 スーパースターのルカ・ドンチッチのいるスロベニアに注目する。ドンチッチはすごい敏しょう性があるわけではないけど、テクニックがあるしパワフルだし、得点を量産するだけではなく、周りを生かす。やっぱ世界最高峰のプレーヤー。日本代表では僕は八村以外にもできる選手がいることが注目。海外では富永啓生、国内では富樫勇樹もそう。フルコートの守備で相手を苦しめ、ボールを取ったら速攻や3点弾を打ちまくる。息もつかせぬバスケットをしてほしい。

■初心者の楽しみ方→ みんなで一体に(JJ) /「推し」みつけて(金谷)

―バスケにあまり詳しくない人へ楽しみを教えてほしい。

金谷 「あの選手、格好良いな」とか「なんかあのプレーすごくない?」とか、一つの「推し」をみつけてもらいたい。選手であったり、監督であったり、チームであったり。あとはW杯のために、異国に来る熱量高い観客の人たちがいる。そういう人との関わるという楽しみ方も意外と面白いんじゃないか。  

JJ 点数がどんどん決まりスピーディーな展開が僕は好き。点が入らずモヤモヤって時もあるけど、トランジションが速く、点数が決まるたびに 盛り上がれる。みんなで一体になり知らない人とハイタッチするなど、コミュニケーションが生まれるところが魅力。

安里 バスケはやっぱりスピーディー。いつ攻防が変わるか分からない。バスケは攻守の切り替えが速い。なおかつ、3点弾で最近はロングで入れる人もいる。一方、ダンクやアリウープなどをあんなにでかい選手がスーパーマンみたいに跳んでやっちゃう。あと、HCが勝負どころでどんな手を打つのかも見どころ。

■W杯の楽しみ方→ 超人がたくさん(安里) / 自分事と思って(JJ)

―改めてW杯やそれまでの期間をどう楽しむか。

JJ バスケは詳しくないけど関連するイベントには行ってみようかなとか、自分事と思って関わっていくことで、2カ月後の本戦がもっと楽しみになると思う。「ワールドカップ」「W杯」という文字や言葉にアンテナを張っていると、わくわく感も生まれていく。フェスティバルみたいな感じで沖縄全体がW杯に染まると思う。試合を見に行けなくても、PVがあって、屋台があって、僕みたいなパフォーマ―もいる。そういうエンターテインメントを楽しんでほしい。  

金谷 知識や出場国の情報、沖縄のバスケットの歴史など調べたものを共有する場を、県民の皆さんに余すことなく共有したいと思っている。大会の注目ポイントしては、日本代表がパリ五輪への切符を手に入れるために、アジアで1位にこの大会でなれるかどうか。あとは、日本代表の結果にかかわらず、沖縄でのW杯開催をどうレガシーとして価値を残すか。沖縄に住む人々から出てくるアイデアから、次の10年やその先を描いて、世の中をデザインしていくのが楽しみ。  

安里 関係する記事がすごく楽しみ。県内メディアはどんどん情報発信してほしい。われわれ、W杯を盛り上げるためのイベントを立ち上げたら面白いと思う。(W杯では)世界最高峰のチームやプレーヤーを見てほしい。どんなプレーをするのか、どんな動きするのか。日本一になったキングスを上回るスーパーマンがいっぱい来る。プレーを見て、子どもたちの目が肥えて意識が変わってくる。そうすると沖縄のバスケが発展する。その中から次代を背負う、日本を代表するプレーヤーが生まれてくる。