障がい者も共に学ぶ社会へ 先進地NZに留学  田本結さん(つくば開成)


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ニュージーランド留学を控えた田本結さん。幼なじみや小学校からの友人にエピソードを話してもらい、動画にまとめて発表した=那覇市樋川のつくば開成国際高校

 障がいのある人も、ない人も、共に学び、生きる場を―。沖縄県那覇市のつくば開成国際高2年の田本結(16)さん=那覇市=は、7月下旬からニュージーランドのオークランドに2カ月間留学する。民間企業からの寄付で留学生を支援する文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」で派遣が決まった。テーマは障がいの有無に関わらず教育を受ける「インクルーシブ教育」。「授業の工夫や、子どもたちが『普通に』仲良くしている風景を実際に見てみたい」と先進地での学びに意欲を見せている。

 「トビタテ!留学JAPAN」は、国際的な人材育成を目的に、返済不要の奨学金で、それぞれ応募者が海外で学びたいことを支援する制度。

 県内からは三つの探求コースに72人が応募し、21人が合格した。学校の友人からプログラムについて聞き、「社会探究コース」に応募。書類と面接試験を突破した。

 インクルーシブ教育に関心を持ったきっかけは、保育園からの幼なじみで、発達障がいがある友人だ。小学校では同じ教室で勉強し、遊んでいた。中学進学後はその幼なじみは特別支援学級で授業を受けるようになった。中学進学後も、変わらず仲良くしていた田本さんにある日、他の小学校出身の友人から「珍しいよね」と言われたという。「他よりも少し勉強が苦手だから別のクラスにいる、くらいに思っていた。障がいではなく特性と捉えていたため、感覚の違いが不思議だった」と振り返る。

 中学校の職業体験で特別支援学校を訪ね、工夫を凝らして勉強を教える先生の姿を目にして以降、特別支援学校の先生に憧れを抱くようになった。

 応募前に、日本の教育の現状を学ぶために、真和志高校で中重度の知的障がいのある生徒を対象とした「ゆい教室」の先生や、興南高校のカウンセラーにインタビューした。

 さらに、友人に障がいのある人と過ごしたエピソードや学んだことを話してもらい、2分間の動画にまとめた。幼なじみにも出演してもらった。

 留学試験の面接では障がい者と健常者の教室を分けることで、距離ができ異質な者として見てしまうとし、「同じ空間で学ぶことができれば、共存する社会ができるのではないか」と発表、4月末に合格の連絡を受けた。

 現地での探求学習は視察の申し込みから自分で行う。「(障がいの有無を問わず)一緒に授業を受けていることへの認識を、先生だけでなく生徒にも直接聞いてみたい」と目を輝かせる。「英語がペラペラに話せるわけではないけれど、ぶれない気持ちで頑張る」と意気込んでいる。

(高橋夏帆)