沖縄県内では小児の間で新型コロナウイルスの感染拡大に加え、RSウイルスなどの感染症も流行し始めた。地域の小児科医院で受診希望が急増して予約が取りづらくなり、その結果、救急外来を受診する親子連れも少なくない。
県内の小児科医院では予約開始直後から電話はつながりにくくなり、すぐに受診枠が埋まってしまう。医院側には多くの患者に対応するため、電話による診察で薬を処方する事例もある。一部で受診できない人がでてしまう状況に対し、県医師会には県民から改善を求める電話もあるという。
県小児科医会の浜端宏英会長(アワセ第一医院)によると、2020年時点で、県内の小児科医院は全国平均より少ないため「今のような状況では予約枠がすぐに埋まりやすい」という。
小児医療の構造的な問題もあるが、大きな流行を迎えた今の最重要課題は入院先が見つからないことだ。浜端会長は「近隣の病院で受け入れ先を探せず、中部から南部、那覇から中部への照会と小児科医同士の調整は大変な状況になっている」と語る。南部医療センター・こども医療センターの張慶哲医師によると、同センターにある小児集中治療室(PICU)8床は満床に近い状態が続いているという。
小児の受診も入院も厳しい状況を迎えているため、浜端会長は「症状が悪化したら受診が必要だが、睡眠や水分が取れるなら自宅でしばらく様子をみてほしい。日頃から自宅療養の準備もしてほしい」と語った。
(嘉陽拓也)