78年ぶり“守り神”と再会 沖縄戦で米兵に持ち出された獅子頭 那覇・首里公民館で公開


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78年ぶりに米国から返還された獅子頭を見ようと訪れた人々=6月18日、首里公民館

 【那覇】沖縄戦で米兵が拾って持ち帰り、今年5月に78年ぶりに返還された那覇市首里真和志町の獅子頭が6月18日、首里公民館で公開された。返還された獅子頭を一目見ようと多くの人が訪れた。

 獅子頭は沖縄戦で焼失したと思われていた。同町獅子舞保存会が昨年、戦前の姿の獅子頭を作ろうと写真を探したところ、那覇市歴史博物館の資料から戦前の獅子の写真を発見。県公文書館からも沖縄戦当時、米兵に抱えられた同じ獅子の写真が見つかった。

 写真説明の米兵の姓を手がかりに、SNSで同じ姓の米国男性にメッセージを送ったところ、男性の親戚で米兵の娘が獅子頭を保管していることが判明。女性は快く返還に応じた。

 18日、首里公民館を訪れた人々は、獅子頭や返還までの経緯を記した案内パネルなどに見入っていた。田畑富美子さん(81)=那覇市首里汀良町=は「獅子は村の守り神だ。米国で大切に保管されていたから、帰ってくることができた。ありがたい」と話した。

 同町獅子舞保存会の玉城博健会長(45)は「多く人の力で返還され、こうして多くの人を喜ばせている。獅子は生きるために、米兵に拾われたのかもしれない」とほほ笑んだ。
 (岩切美穂)