「与党なら前向き、野党は反対」文書、石垣市当局は「注意喚起で使った」と問題視せず 野党の緊急質問に総務部長「一部を切り取った批判」


この記事を書いた人 琉球新報社
文書作成に引用した書籍を示しながら説明する石垣市の翁長致純総務部長=3日、石垣市議会本会議場

 【石垣】石垣市が4月に新任課長8人を対象とした市役所内での意見交換会で、議会での答弁対応として「一般的に与党であれば前向き・積極的」に「野党であればその反対」などと記した文書を配布していた件で、作成者の翁長致純(ちじゅん)総務部長は3日、「そうならないよう注意喚起で使った」として、文書は「問題ない」と述べた。中山義隆市長も問題ないとの考えを示しつつ「混乱を来しており、その点については厳重注意したい」と語った。同日の市議会6月定例会の最終本会議で、それぞれの見解を示した。

 文書は野党会派「ゆがふ」の内原英聡市議が市への情報公開請求で入手した。内原氏は3日の本会議で緊急質問した。憲法や地方公務員法、市職員倫理条例などで公務員は「全体の奉仕者」と定められていることを根拠に、それに逆行するような今回の文書は「言語道断だ」と糾弾した。その上で、文書に書かれているような態度で議会対応をしてきたのかなどと、翁長部長らをただした。

 翁長部長は文書の最終決裁者は自分だと認めた上で「これ(問題となっている文言)が当たり前で通常業務をやっている感覚はない」と語った。「あくまでもそうならないように、その先に住民がいることを常に意識しようという注意喚起だ。資料の他の部分を見たら分かる」と強調した。問題となった文言については「一部を切り取った批判と受け止めている」と話した。

 内原氏は「議員一人一人の後ろには大勢の市民がいる」として「市長や市幹部が感情論、与党・野党の線引き、政治的立場の違いを理由に、さまざまな生活苦にある市民の命を選別していいのか。究極的にはそういう話だ」と、文書の問題性を指摘した。

 他の野党議員から、市として今後も管理職への研修などでこの文書を使用するのか問われた翁長部長は「どうするか検討したい」と述べるに止めた。

 野党が翁長部長の「適切な処分」を求める決議を提出し、賛成11、反対10で可決した。
 (照屋大哲)