暮らし通し「人の思い」写す 「相手を理解しないと撮れない」 25日から写真甲子園本戦 浦添工3人、北の大地で挑む


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8枚組みのうちの3枚(写真甲子園実行委提供)

 北海道を舞台に、全国の高校生が写真の腕を競う写真甲子園。30回目の今大会には過去最多の584校から応募があり、県内の浦添工業高校を含む19校が決勝に進んだ。浦添工業の決勝進出は9回目で、優勝・準優勝それぞれ2回果たすなど、強豪校として名を連ねる。25日に開幕する本戦に向け、選手らは撮影技術に磨きをかけている。

7月25日に開幕する写真甲子園決勝に出場する、浦添工業高校の(左から)上江洲心音さん、安里すずらさん、金城花音さん=6月14日、同校

 高校入学前から時々、一眼レフで風景や人物を撮っていたという金城花音(かおん)さん、高校入学後にカメラを始めた上江洲心音(ここね)さん、安里すずらさんの3人が選手。いずれも2年の17歳。

 沖縄からの出場校には全国も注目する。県勢の優勝は8回、準優勝は7回で、その合計数は群を抜いている。続く大阪は計7回。浦添工業の3人は「(好成績への)プレッシャーがないとは言い切れない」と話しながらも、北海道の大自然を舞台とした写真撮影を心待ちにしている。

 決勝に臨む3人にとって、決勝に進むための作品撮影も糧となった。4~5月の週末などの早朝、うるま市の浜比嘉島に通った。目指すは8枚1組の組写真の完成。浜比嘉島である夫婦と出会い、被写体としてレンズを向けた。作品名は「輝く日々」。夫婦の自宅近くには海と森林、拝所がある。朝の日光を浴びながら体操し、拝所で手を合わせて祈りをささげ、海で泳ぐ。一日の生活に焦点を絞った。

 「いろんな暮らし、いろんな幸せの形があるんだと知った」。振り返った上江洲さんの言葉に、安里さんもうなずきながら言葉を続けた。「(撮影に)必要なのは、その人の生き方に向き合うことだ」。金城さんは決勝への気合いを語る。「相手を理解しないと写真は撮れない。これを本番で、短時間でできるかに懸かっている」

 浜比嘉島で偶然、写真甲子園で優勝を経験した浦添工業を卒業した先輩に出会った。新型コロナの影響で部員が激減し、部の存続が危ぶまれたことを顧問に聞いたことがある。先輩は活動を続けた一人だった。「つないでくれた先輩たちに感謝している」。3人が心に刻むのは、人と人のつながり。決勝で「人の思い」を写せるように、本番まで撮影技術を磨いている。
 (嘉数陽)