【総評】沖尚、高い総合力を発揮 ウェルネス、遜色ない打撃陣 高校野球沖縄大会


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 第105回全国高校野球選手権記念沖縄大会は、攻守で総合力の高いプレーを見せた沖縄尚学が決勝でウェルネス沖縄を3―0の接戦で下し、2年ぶり11度目の優勝をつかんだ。両校は春のチャレンジマッチでも対戦し、ウェルネスが延長戦に勝利。沖尚はその時の借りを返し、春夏連続の甲子園出場を果たした。今大会を振り返る。

優勝を決め、記念撮影する沖縄尚学の選手たち=16日、沖縄セルラースタジアム那覇(小川昌宏撮影)

攻守とも高い完成度

 沖縄尚学は昨年の秋季九州大会優勝、春の全国選抜16強入りと多くの場数を踏み、経験が豊富。今大会は5試合を戦い、打率2割9分9厘だった。「初球からどんどん振る」ことを心掛けて合計29得点を挙げ、高い攻撃力を誇った。

 上位から下位まで長打が狙える打者がそろう沖尚の中でも主砲の仲田侑仁は、コザとの2回戦では3点本塁打を放つなどチームをけん引した。投手陣ではエース東恩納蒼が140キロ後半の直球を武器に、登板した全5試合でいずれも無失点で抑える圧巻の投球を見せた。守りでは大会を通じて3失策と安定感を発揮し、完成度の高さを示した。

沖尚に引け取らず

 4強には沖尚とウェルネスのほか、昨年夏の甲子園出場校の興南、唯一の県立高の宮古が残った。準優勝のウェルネスも沖尚と遜色ない高打率の打撃陣で、2、3回戦でコールド勝ちを収めるなど打撃力が光った。投手では安里幸大が糸満との準々決勝でノーヒットノーランを成し遂げた。

 興南はウェルネスに敗れたが打率3割3分1厘、29得点と優勝の沖尚にも全く引けを取っていない。宮古は県春季大会で準優勝し、今大会の台風の目となりうる存在だった。準決勝の沖尚戦では序盤の緊張や力みから5点を奪われたが、その後2点を取り返し、最後まで食らいついた。

 那覇商が2回戦で与勝を下したり、小禄が3回戦で第4シードの西原を打ち破ったりするなどドラマも生まれた大会だった。

忘れ物を取りに

 沖尚は春に続き、甲子園の土を踏む。佐野春斗主将は今大会優勝後のインタビューで「自分たちは選抜で大きな忘れ物(優勝旗)をしてきた。その忘れ物を必ず沖縄に持って帰ってこられるよう頑張りたい」と決意を語った。

 春から夏にかけてチームの立て直しを図り、大会を通じてさらなる成長を遂げた。春以上の結果を出せるか。熱戦の舞台は県大会から甲子園へと移る。全国選手権記念大会は8月3日に組み合わせ抽選会を行い、同6日に兵庫県の阪神甲子園球場で開幕する。
 (砂川博範)