未知の領域200キロに挑む、女子重量挙げの比嘉 相撲の中部農林は少数精鋭の7人で一丸と 全国高校総体きょう開幕


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「轟かせ 魂の鼓動 北の大地へ 大空へ」をスローガンに2023年度全国高校総合体育大会「翔び立て若き翼 北海道総体2023」の総合開会式が22日、北海道札幌市の北海きたえーるで行われる。今大会は北海道を主会場に行われ、山形、栃木、和歌山の各県でも開催される。沖縄県選手団は26競技28種目に414人が出場し、8月21日まで熱戦を繰り広げる。少数精鋭で挑むチームや団結力を武器に連覇を目指すチーム、県そして日本記録を超え新たな世界に挑む選手。それぞれの思いを紹介する。


 

重量挙げの女子59キロ級の連覇と日本高校新記録を狙う比嘉成(本部)=18日、本部町の本部高校(屋嘉部長将撮影)

 重量挙げの女子59キロ級でスナッチ、ジャーク、トータルすべてで日本高校記録を持つ比嘉成(本部3年)。最後となる全国総体の舞台で狙うは未知の領域のトータル200キロの世界。「優勝と日高新(日本高校新記録)を出して、200キロを超える」と言葉に力がこもる。

 中学生の時から、多くの大会で優勝や新記録を樹立した比嘉。1年生の全国高校総体でも優勝を狙ったが、「気づかない内に緊張していた」と試技のミスもあり、3位で終え、高校のレベルの高さを感じた。

 さらなる記録更新を狙う比嘉の前に立ちはだかったのがコロナ禍だった。出場予定だった大会や海外派遣が中止され、モチベーションも下がった。それでも「みんなに会わない間に強くなる」と気持ちを切り替え、練習を積んで、2年の全国総体で優勝を果たした。

 今年の全国総体は声出しの応援が解禁される。兄・力(りき)が出場した2019年に沖縄で開催された全国総体で、応援で盛り上がった風景が比嘉の脳裏に残る。この2年、声出しの応援のない中、競技を続けた比嘉は「声出し応援はプレッシャーはあるが、すごくうれしいしやる気が出る」と笑顔を見せる。

 現在の自己ベストはスナッチ93キロ、ジャーク106キロ、トータル199キロ。自己ベストを更新すれば日高新、大会連覇、そして200キロの世界が見えてくる。「今の実力と調子でどれだけ挙げられるかが楽しみ。できたら三つ同時に日高新出したい」。高校で大きく成長した比嘉が、新たな世界へ挑む。

(屋嘉部長将)


 

全国での飛躍を誓う中部農林の伊良部誠士主将(後列右から2人目)、前田俊之丞副主将(同右端)ら=18日、うるま市田場の中部農林高

 相撲の中部農林はわずか部員7人ながら、モチベーションを途切れさせずに研さんを積み重ねてきた。少数精鋭で全国へ挑む。主将の伊良部誠士(たかひと)がチームを鼓舞する。171センチ、120キロで体の柔軟性を生かし駆け引きする。全九州団体戦は予選敗退だったが、その反省を生かす。「みんなスイッチが入るのが遅かった。チームの雰囲気をどう盛り上げるかも大事。自信を持って戦いたい」と決意する。

 前田俊之丞(しゅんのすけ)は県大会で個人80キロ級、無差別級、団体と合わせて3冠。173センチ、79キロの筋肉質の体形で瞬発力を生かす。全九州80キロは2位に甘んじた。得意とする立ち合いでいかに相手をいなせるかが鍵になる。「相手の右まわしを取って中に入り押し切るのが強み」と得意な展開を狙う。

 171センチ、87キロの山城咲武斗(さんと)は全九州100キロ級で優勝。押し出しが得意で「相手に圧力をかけられても後ろに下がることなく、常に前へ出る攻めの相撲をしたい」と鋭い目力で健闘を誓う。相撲一家で、兄・希友斗(きゅうと)は先輩後輩として昨年まで共に汗を流した。妹・絆南(はんな)(神森中2年)は昨年5月の全国女子選抜ひめじ大会の中学高校の部(超軽量級、50キロ未満)で王者に輝いた。

 眞榮里優翔は3月の全国選抜80キロ級を制し、全国一に輝いた。175センチ、70キロと小柄ながら「自分よりも大きな相手に勝てるように厳しい稽古から逃げずに自分を追い込んできた」と自身と向き合ってきた。本村史音、上原琉聖もチームを支え、一丸となって全国の猛者に挑む。

(大城三太)