自民・麻生氏発言に沖縄・玉城デニー知事「不測の事態、絶対あってはならない」 「評価避ける」としつつ呈した苦言


この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江
定例記者会見を開く玉城デニー知事=10日、県庁

 玉城デニー知事は10日午前の記者会見で、自民党の麻生太郎副総裁が8日に台湾で行った講演で、日米や台湾に「戦う覚悟」が求められていると発言したことについての見解を問われ、「誤った受け取られ方をされることがないよう、丁寧な対話を重ねていただきたい」と要望した。

 玉城知事は麻生氏の発言への直接の評価は避けるとした上で「(中台の領土は不可分だとする)『一つの中国』という考え方に相反するとの指摘があることも報道で承知している」と説明。中国政府が主張する「一つの中国」に対し、日本政府が「中国の立場を十分理解し、尊重する」との立場を維持していることに触れ、「建設的、平和的な対話による外交で、信頼関係の構築と緊張緩和に向け相互発展に尽くしていただきたい」と述べた。

 また、米軍基地の集中に加え、抑止力強化を沖縄での自衛隊の急激な配備拡大による抑止力強化が「かえって緊張を高め不測の事態が生ずることは絶対にあってはならない」と改めて強調した。

 米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイで、クラッチ不具合に関係する事象「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)」が国内でも発生した疑いがあるとして調査を進めていると米軍が回答している問題を巡り、玉城知事は「7月31日に沖縄防衛局に照会したが、現時点において回答はきていない」と説明した。

 また、HCEを巡り米軍が特定の部品を交換することで、問題の発生リスクを「99%低減した」と主張していることに対して玉城知事は、「欠陥のある部品を新たな部品に交換しても、欠陥そのものの疑義は払しょくされない」と指摘した。