第21回りっかりっか*フェスタ(国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ2023)が7月24日から同30日まで、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーとや宜野座村のがらまんホールなどを会場に、4市町村で開催された。チリ、ベルギー、スペイン、日本など9カ国19作品を上演した。3作品を紹介する。主催はエーシーオー沖縄、同フェスティバルおきなわ実行委員会。
ブレーメンの音楽隊 三線登場 観客と共演も
エーシーオー沖縄の「ブレーメンの音楽隊」が7月26~29日、那覇市の県女性連合会会館であった。年老いて飼い主から捨てられた動物たちが音楽隊になることを夢見てブレーメンを目指す、おなじみのグリム童話。三線など沖縄の楽器も用いながら、歌や音楽でにぎやかに披露した。脚本・演出はアレックス・バーン。世界初演。
年老いて飼い主たちから捨てられたロバの哀愁を、服部吉次が巧みに演じた。イヌ(齋藤慎平)、ネコ(平野史子)、ニワトリ(美音)も個性的で楽しい。迫力とコミカルさを持ち合わせた泥棒役・須田真魚の演技にも引き込まれた。観客2人を舞台に上げる演出もあり、客席を盛り上げた。
照射範囲を狭めて動物の人形にスポットを当てたり広げて演者を見せたりと、ライトや小物使いの工夫も光り、限られた舞台を多彩に見せた。音楽は寺田英一。
(田吹遥子)
パレイドリア 身近な物に命吹き込む
スペインとチリ出身のアーティストで構成する「ラ・ヤーベ・マエストラカンパニー」による「パレイドリア」が7月24~26、28、30日、那覇文化芸術劇場なはーとなどで上演された。2018年の初演以来、チリやベルギー、オランダなど劇場や演劇祭などで100ステージ以上が上演され、今回、アジアで初演となった。
生活の中で目にする、布やビニール袋、縄などさまざまな道具が姿を変えて登場する。バレエのチュチュがダチョウへ、ビニールが火山のように、役者たちが遊び心を持ちながら、物に命を吹き込むように演じた。言葉を超えた観客の想像をかき立てる独特な世界観や物語が、観客を笑わせたり驚かせた。感性を刺激させられる作品だった。
(田中芳)
レイン~雨と涙のしずく~ 死別と癒やし 身振りで
スペインの「マルケリーニェ」による「レイン~雨と涙のしずく~」が7月28~30日、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーとであった。最愛の妻を亡くした男性と傘を巡る物語。背景に移ろう映像と身体表現のみの演技で、男性が妻の死を受け入れるまでを表現した。アジア初演。
妻が残した傘を起点に2人の思い出がよみがえる場面を男役のフェルナンド・バラード、妻役のネレア・マルティネスがしなやかな演技で見せた。悲しみに暮れる男が拾ったぼろぼろの傘から役柄「喜び」が飛び出し、物語が展開する。
「喜び」を演じたイツィア・フラグアの弾むような動きと妻の記憶が交差しながら、徐々に悲しみが癒やされていった。
(田吹遥子)