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「ハワイ、今度は僕らが助ける」 沖縄戦で捕虜、ハワイで収容の渡口さんが20万円義援金


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米ハワイ・マウイ島の山火事を受け、戦後にハワイ県系人に支えられた日々を振り返る渡口彦信さん=18日、読谷村内

 【読谷】沖縄県読谷村在住の渡口彦信さん(96)が18日、米ハワイ・マウイ島の山火事を受け、琉球新報社に義援金20万円を託した。渡口さんは沖縄戦後、米軍の捕虜としてハワイの収容所で1年半を過ごした。ハワイの県系人は、渡口さんら県人捕虜に食料を差し入れ、励ましの手紙を送るなど支援し、「心の癒やし」だったという。「ハワイ県系人から受けたご恩は計り知れない。復興に役立ててほしい」と話した。

 渡口さんは県立農林学校在学中の1945年3月に初年兵として徴兵された。同年6月に沖縄で捕虜となりハワイ・オアフ島の収容所に移送された。沖縄から3千人余が移送されたが、現地で亡くなった人もいた。渡口さんら元捕虜はハワイ沖縄連合会の協力を受け、亡くなった県人を弔う慰霊祭を2017年に実施した。「ハワイには特別な思いがある」と話す。

 山火事で焦土になった街を見て胸が締め付けられる思いだという。「今度は僕らが助ける番だ。あの時の恩を返したい。一日も早い復興を願っている」と語った。

(石井恵理菜)