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京大への琉球遺骨返還請求訴訟が結審 9月22日に判決 原告「先祖供養、権利に光を」


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百按司墓=今帰仁村

 琉球王家の子孫という県民らが、昭和初期に旧京都帝国大(京都大)の研究者によって今帰仁村の風葬墓「百按司(むむじゃな)墓」から研究目的で持ち去られた遺骨の返還を大学に求めた琉球遺骨返還請求訴訟の控訴審は23日、大阪高裁(大島真一裁判長)で第5回口頭弁論が開かれ、結審した。判決は9月22日に言い渡される。

 口頭弁論では、原告の松島泰勝龍谷大教授が意見陳述した。裁判官に対し「ご先祖の遺骨をお墓に戻し供養したいという、人として当然の基本的な願いや権利に光を当てて」と求めた。京大側が提示した保管中の26体の遺骨の写真で、遺骨に数字が記載され、1体を除き全ての頭蓋骨が逆さまに置かれているなどとして「敬意を払わず、研究対象の単なるモノとしておとしめている」と憤った。

 原告側の弁護団は、京大側の保管状況について「不自然で分量が少な過ぎる」と不当性などを指摘する最終準備書面の要旨を陳述した。控訴棄却を求める京大側から、書面提出や最終意見陳述はなかった。

 2022年4月の一審京都地裁判決は、子孫とされる者は他にも多数存在し、原告らは承継者に当たらず返還請求権もないと判断していた。控訴審では、これまで開示がなかった遺骨の保管状況の写真が限定的に開示されるなどしてきた。