「SDGsにAI不可欠」那覇で国連大学長が講演 人権問題と法整備にも言及 沖縄


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AI技術が持つ可能性などについて語る国連大学のチリツィ・マルワラ学長=28日、那覇市久茂地のパレット市民劇場

 東京都渋谷区にある国際連合(国連)大学のチリツィ・マルワラ学長による特別講演会(那覇市主催)が28日、那覇市久茂地のパレット市民劇場で開かれた。人工知能(AI)の研究者でもあるマルワラ氏は医療、金融、自然環境などさまざまな分野で活用されているAI技術が国連で定められたSDGs(持続可能な開発目標)の達成に不可欠として、AIを扱える人材育成の重要性などについて説いた。

 「人工知能と経済発展」と題して講演したマルワラ氏は、AI技術の活用例として、天候や株価の予測から自動翻訳や自然災害の予防など多岐にわたると説明。さらに、安全保障分野に関して、自身の研究を踏まえた上で「国家間の貿易が活発であれば紛争に発展する可能性が低い」とし、国家間における相互依存度を高めていく必要性について言及した。

 一方で、AIによる人権侵害や著作権侵害などの諸課題についても触れ、法整備の必要性についても語った。

 マルワラ氏は南アフリカ出身で、英ケンブリッジ大学で人工知能の博士号を取得し、今年3月に国連大学の学長に就任した。マルワラ氏の前には国連大学上級副学長の白波瀬佐和子氏が登壇し、国連大学の意義について、「研究を通した政策提言」と話した。

 講演会には、主催者側の知念覚那覇市長や来賓として外務省沖縄担当大使の宮川学氏、県に国連機関を誘致する会の浦崎真作氏が出席した。
 (吉田健一)