日本フィル×落合陽一「帰納する音楽会」 来年2月に沖縄公演 琉球古典音楽とオーケストラが融合


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「揚作田節」を組み込んだ「Open Leaves」を奏でる日本フィルハーモニー交響楽団と琉球古典音楽奏者=8月23日、東京都新宿区の東京オペラシティコンサートホール(山口敦撮影、同楽団提供)

 【東京】日本フィルハーモニー交響楽団とメディアアーティストの落合陽一による「帰納する音楽会」が8月23日、東京都新宿区の東京オペラシティコンサートホールであった。琉球古典音楽「揚作田節」を組み込んだ新作「Open Leaves(オープンリーブス)」(藤倉大作曲、海老原光指揮)が初披露され、観客はオーケストラと琉球古典音楽が融合した新たな響きを堪能した。舞台上の演出ではAIが演奏を聴きながら生成した画像を投影するなど、リアルとデジタル、聴覚と視覚で音楽を観賞する実験的な演奏会だった。

 「Open Leaves」は「揚作田節」の歌詞に着想を得たタイトルという。県立芸術大学の新垣俊道准教授ら教員と卒業生ら7人が歌三線、箏、笛、胡弓、太鼓で「揚作田節」を本来の形で演奏する中、オーケストラが包み込むような旋律を奏で、絶妙なハーモニーを響かせた。

 舞台上では落合が沖縄でのフィールドワークで撮影した「工工四」「紅型」「御嶽」などの画像がAIによって投影され、独特の空間を創出した。 幅広い年代の観客が来場した。

「ファイナルファンタジー」といったゲーム音楽、バイオリン協奏曲集「四季」より「夏」(ヴィヴァルディ作曲、辻彩奈バイオリン)といったクラシック、ミュージカル音楽「マンボ」まで多彩な演目を楽しんだ。アンコールではロビーで新垣らが「仲順流れ」など7曲も披露した。

 沖縄音楽好きという看護師の菅原郁美さんは「『Open Leaves』はオーケストラと琉球音楽がうまく調和していた」と感想を話した。

 同演奏会は11月から室内楽によるサテライト公演も全国3都市であり、2024年2月23日には首里城公園、24日には那覇市の琉球新報ホールで予定されている。
 (石川理香)