【東京】元宮古島市議の石嶺香織さんが、産経新聞の記事で名誉を傷つけられたとして、産経新聞社(東京)に220万円の損害賠償を求めていた訴訟の控訴審で、東京高裁(増田稔裁判長)は8月31日、同社にインターネットのウェブサイトに投稿された記事の削除と22万円の賠償を命じた。一審東京地裁判決を変更し、賠償額を11万円から増額した。
地裁判決では、2017年3月、同社がネット上に公開した「自衛隊差別発言の石嶺香織・宮古島市議、当選後に月収制限超える県営団地に入居」と題した記事について、「原告が被った社会的評価の低下および精神的苦痛の程度は大きい」として名誉毀損と賠償を認めていた。
増田裁判長は、被告側の控訴を棄却した上で、記事の内容について「根拠がなく、虚偽と評価されてもやむを得ないものだ」と判示した。被告側の取材についても「基本的な取材事項の取材を欠いた」と断じ、被告側の「対応の不備」が「精神的損害の程度および慰謝料の額を検討する際に考慮されるべき」として賠償額を変更した。
判決後に都内で会見した石嶺さんは「記事は虚偽の内容だったが、大手新聞が書いたということで拡散されていった。デマ記事を個人の力で塗り替えていくのは大変な労力だった。メディアが民意のコントロールを試みたということだ。決して許されることではない」と声を震わせた。
産経新聞社広報部は、判決について「判決内容を精査し、今後の対応を検討します」と文書でコメントした。
(安里洋輔)