救護手順、県は未策定 医療関係者「災害で混乱も」


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努

 災害時の医療救護活動が迅速、適切にできるように各機関が実施すべき基本的事項を具体的に定めた「災害時医療救護マニュアル」を県が策定していないことが、10日分かった。策定は義務ではないが、県によると少なくとも41都道府県で策定されているという。救急医療関係者は「関係機関の打ち合わせがされていないので初動がつまずき、その後もうまくいかない可能性がある」と指摘している。

 県議会文教厚生委員会で比嘉京子氏(社大)の質問に大城直人保健医療政策課長が答えた。
 災害時の基本的な体制などは県地域防災計画の中の医療救護活動で定められている。マニュアルは災害発生直後の初期救急段階から避難所での医療救護活動について、具体的な動きを規定するもの。他県では阪神・淡路大震災後に策定が始まり、東日本大震災を経て修正している県もある。
 厚生労働省は「最低限のことは地域防災計画に書いてあるので、マニュアルは都道府県の自助努力の部分。大地震の恐れがあるなど災害対策が喫緊の課題となっている地域では策定されている」と地域差があると説明する。県は「島しょ県という特殊性を踏まえたマニュアル作りが求められる。県医師会などと連携し、策定したい」とした。
 東日本大震災の医療救護活動をした沖縄赤十字病院の佐々木秀章救急部長は「災害時に民間機関がやることを明文化しておかないと、混乱した状況下ではうまくいかない」と早期策定を求めた。