沖縄戦被害国賠訴訟、きょう判決


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎

 沖縄戦で被害を受けた民間人や遺族ら79人が国に謝罪と損害賠償を求めた「沖縄戦被害国家賠償訴訟」の判決が16日午後2時、那覇地裁(鈴木博裁判長)で言い渡される。日本軍による戦闘行為により甚大な被害を受け、戦後も民間人への補償を怠ってきたなどとして2012年8月15日に提起された同訴訟。裁判所が沖縄戦の被害をどのように評価し、国の法的責任を認めるかが焦点となる。

 原告は損害賠償を請求する根拠として、三つの主張を展開する。まず挙げるのが、民間人が多数犠牲になった日本軍の戦闘行為や「集団自決」(強制集団死)の強制などが国民保護義務に違反し、民法上の「不法行為」に該当するとの主張だ。
 国には戦争遂行により民間人を特別な危険状態にさらした「公法上の危険責任」があるため、損害を賠償する義務を負うとも主張する。戦後も、民間人被害への補償立法を制定せず、救済を長年放置してきた国会の不作為があり国家賠償法上の違法性があるとする。
 国側はいずれの主張も法的根拠を欠くなどとして、棄却を求めている。原告の主張を否定する論拠の軸となるのが、沖縄戦当時、国家賠償法施行前だったため損害賠償の責任を負わないとする「国家無答責の法理」や、戦争被害は国民が等しく受忍しなければならなかったとする「受忍論」だ。原告に損害賠償請求権が認められた場合でも、被害に遭ったのは戦時中のため、民法に定められた20年の除斥期間を過ぎており、権利は消滅していると主張する。
 原告側は沖縄戦は民間人被害や日本軍の加害が特殊で被害も甚大だとして「国家無答責の法理」や「受忍論」、「除斥期間」適用が制限されると反論している。