やんばる国立公園 特別保護区「狭い」 自然団体、再考促す


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 県内の自然保護団体が23日、やんばる国立公園(仮称)の指定書・公園計画書の環境省原案に対し、再考を促す意見書を発表した。開発行為が厳しく規制される特別保護地区が狭く、その他の指定地域で森林伐採が進む危険性を指摘し「長期的にはやんばるの生物多様性を毀損(きそん)し、種や個体群の絶滅を招くものになりかねない」と批判した。

 やんばるDONぐりーず共同代表の喜多自然弁護士、NPO法人奥間川流域保護基金の伊波義安代表らが県庁で会見した。10団体・2人の共同発表で、伊波氏らは「このままでは世界自然遺産登録も不可能だ」と話し、遺産登録に向けた国際自然保護連合(IUCN)の審査も通らないと訴えた。意見書は環境省のほか県や国頭、大宜味、東の3村にも送付した。
 意見書では、やんばる地域約3万4千ヘクタールのうち約40%の1万3632ヘクタールが国立公園(陸域)に指定されるが、伐採や動植物採取が厳しく規制される特別保護地区は790ヘクタールにとどまると指摘した。
 指定区分は特別保護地区以外に、規制が厳しい順に第1~3種特別地域と普通地域があり、特別地域の伐採行為は許可制となる。
 喜多氏や伊波氏は「貴重な地域が特別保護地区になっておらず、科学的根拠に基づく区分けになっていない。これでは伐採行為に国がお墨付きを与えるものだ」と話した。
英文へ→Environmental groups say plan for Yambaru National Park conservation area falls short