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原初的な技法を織り込んだ土器で鈴木さん最高賞 新たな可能性引き出す 現代陶芸奨励賞九州・沖縄展


原初的な技法を織り込んだ土器で鈴木さん最高賞 新たな可能性引き出す 現代陶芸奨励賞九州・沖縄展 鈴木まことさん(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 與那覇 裕子

 第5回日本陶磁協会現代陶芸奨励賞九州・沖縄展の審査がこのほど行われ、鈴木まことさん(28)=那覇市=の「艶黒陶壺(つやこくとうつぼ)«夕波小波(ゆうなみこなみ)»」が、最高賞である奨励賞を受賞した。県内からは審査員特別賞鈴田由紀夫選を明石朋実さん、同賞大長智広選を松田優人さんが受賞した。

日本陶磁協会現代陶芸奨励賞九州・沖縄展の奨励賞を受賞した
「艶黒陶壺«夕波小波»」(提供)

 鈴木さんは、県立芸術大学芸術文化学研究科後期博士課程に在籍。磨研土器の制作技法の調査研究を通じて、現代陶芸の新たな装飾技法を探究している。

 受賞作品は高さ40センチ、胴径42センチの壺で、つやのある質感と縦じまの模様が特徴的だ。模様は、マンゴーの葉を燻(いぶ)すペルーのネガティブ文様技法と、弥生土器の研磨によって文様を描く技法を応用して表現した。審査では、世界各地の研究を元に原初的な技法を織り込みながら、土器の新たな可能性を引き出した点が評価された。

 鈴木さんは7年ほど前、ペルーの土器のつや感に衝撃を受けたことをきっかけに技法の研究を始めた。「地道な研究が成果につながりうれしい。今後も研究と制作を続けていきたい」と受賞の喜びを語った。

 日本陶磁協会現代陶芸奨励賞は、真摯(しんし)なものづくりと挑戦をするつくり手を発掘し奨励することを目的に、公募の対象地域を変えながら開催されている。23日から12月3日まで、福岡市美術館で展覧会が行われる。

 (與那覇裕子)