2500人保育定員増へ着々 那覇市、待機解消策を本格化


社会
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市初認可の事業所内保育園「いずみのもり保育園」の開所式=1日、那覇市泉崎

 2016年度を迎え、待機児童解消に向けた那覇市の事業が本格的に動き始めた。市立幼稚園から移行させた保育園機能を併せ持つ「幼保連携型認定こども園」5園を皮切りに、市初認可となる従業員と地域の子どもを保育する事業所内保育園、6~19人保育の小規模保育園が次々と開園。市は18年度当初までに潜在的待機児童を含む2500人の保育定員増を計画しており、諸政策を今後も打ち出していく。

 待機児童解消に向けた取り組みの柱となる市立幼稚園36園の「認定こども園」化は19年度までに完了予定で、3~5歳児の受け入れ(3歳児は17年度以降)体制を強化。4月に開園した5園では給食や土曜保育・延長保育なども実施している。また認可保育園は、15年度着手分で8園開設され、16年度でも15~16園の設置を目指している。
 1日に開園した認定こども園に、息子(5)と娘(4)が入園した女性(41)は「上の子は普通の幼稚園だったので学童が必要だった。働く親としてこども園はありがたい」と期待を込めた。
 一方で別の園に娘(5)を預ける女性(35)は「給食はありがたいがケータリングなので、隣接する小学校の給食で対応してほしかった」と語った。給食がケータリングとそうでない園もあり、全園均一ではないサービスへの不満も聞かれる。
 16年度はそのほか、市初認可の事業所内保育園3園が開園。保育対象は0~2歳児で、3歳児から受け入れる認定こども園との連動性も期待される。小規模保育園も2園が開園するなど、市は待機児童数が多い低年齢層を受け入れる保育園増設に力を入れている。
 市こども政策課によると、15年度着手分の新規施設や分園施設で約600人の受け入れが可能となり、さらに16年度分で1500~1600人の“受け皿”となる施設が新設されるという。保育士不足については、園児数が少ない場合でも保育士の雇用を継続するための給与補助制度や、保育士試験の試験対策講座を実施し対応する。
 同課の担当者は「保育士確保のためには給与増が課題。県は国の一括交付金を活用した対応を検討している。実現できなかった場合でも、市単独の対応を考える」と話すなど、待機児童解消に向け、幅広い対策を講じる必要性を強調した。