県産モズク2年連続不作 エルニーニョ、寒波が影響


社会
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収穫したモズクを陸揚げする漁業者ら=14日午後、南城市知念の志喜屋漁港

 2016年の県産モズクが不作の様相だ。主要漁協によると、昨年12月ごろの海水温がエルニーニョ現象の影響などから平年に比べ1~2度高めに推移したことや、1~2月にかけての寒波など天候不順が相次ぎ、生育に大きく響いたとみられる。17日に「モズクの日」があり、最盛期を迎えるモズク収穫は6月ごろまで続くため、今期の収穫量はまとまっていないが、目標生産量の1万9千トンを割り込むとの見込みが強く、全県的に不作だった「昨年の8割程度になる」との観測も出てきた。

 知念漁協によると、今期の4月末時点のモズク収穫量は900トン程度にとどまる見通しだ。同じく不作だった昨年でも同時期に1200トン、比較的豊作だった14年には2千トン程度の収穫があった。
 同漁協は今期、2700トン以上の注文があったが、千トン以上不足する見通しだ。不作に伴い取引価格が上昇し、昨年は海から上げたばかりのモズク「原藻」の価格は135円だった。ことしは150円以上の高値だが、収穫量が少なく生産者の収入に影響を与えそうだ。
 漁協や気象庁によると、エルニーニョ現象などの影響で、種付けした養殖網を最初に設置する12月ごろの沖縄本島近海の海水温は25度程度と、平年より1~2度程度高く推移した。
 この影響で養殖網にはモズクと共に、他の藻も繁殖した。モズクと他の藻が一緒に繁殖すると除去するのが難しく、前半に設置したものを中心に、商品化できないものが多く発生した。
 昨年末からの日照不足も響いたほか、今年1月末の寒波による急激な水温低下で、養殖網からモズクが外れる「根切れ」と呼ばれる現象も広がった。知念漁協の仲里司参事は「モズクを取り巻く環境全てが悪い」と頭を抱えた。
 県内一のモズク産地である勝連漁協の上原勇行組合長も「既に上げて収穫を終えた網が多く、今後どれだけ収穫量を回復できるか、難しい状況だ」と語った。
 知念漁協でモズク養殖を営む大城正則さん(61)は「例年、最盛期の今ごろは午前と午後の2回収穫に行くが、モズクが少ないから1回で終わった。単価は上がっているが、収入への影響は避けられない。天気が回復するのを願うしかない」と肩を落とした。