5党「地位協定改定」 中央9政党政策調査


この記事を書いた人 新里 哲

 7月10日投開票の参院選に向け、琉球新報社は25日までに中央政党9党に政策アンケートを実施した。米軍属女性暴行殺人事件を受け、県内で改定を求める声が上がる日米地位協定の在り方について共産、おおさか、社民、生活、こころの5党が「抜本的改定」を、民進、公明、改革の3党が運用改善などの「見直し」を求めた。自民は「その他」とした。米軍普天間飛行場の辺野古移設計画には自民、こころが賛成し、共産、社民、生活が反対するなど意見が分かれた。基地問題や県経済の振興を巡り、各党の政策の違いが鮮明となった。

 日米地位協定について、自民も「米国政府と連携して米軍人・軍属の綱紀粛正および事件・事故防止を徹底し、あるべき姿を検討する」などと回答しており、現状から変更を行うべきだとの考えでは各党ともに一致した形となった。

 民進、公明は「見直しを進める」と回答したが、理由は回答しなかった。同じく「見直しを進める」とした改革は「安保法制をまとめたことを契機にさまざまに見直しを進めるべき」との考えを示した。

 抜本的改定を求める考えを示したのは野党5党だが、理由については見解が分かれた。おおさか維新は「日米が対等の関係に立つことが同盟の維持に不可欠であり、日本国民の生命、身体、財産を守り、法の下の平等を保障するべきだ」と回答し、同盟維持の観点からも抜本的改定が必要だと主張した。

 共産は「日米地位協定は米軍人・軍属による公務中の事件の第1次裁判権を米側に与えるなど、在日米軍に多くの治外法権的な特権を与えており、このことが米軍人・軍属による犯罪が絶えない重大な土壌になっている」と指摘した。

 社民は「基地被害の問題の実態は地位協定の問題であり、早期に抜本的な改定を求めるべきだ。不平等な地位協定の矛盾は沖縄など基地周辺の住民の生活を脅かしている。日米安保の立場を超えて即刻改定を求めるべき優先課題」とした。

 生活は「米国への配慮が重く、日本国民の安心、安全性は保障されていない。政府・外務省が米軍、国務省と対等に話ができていない状況と同様であり、本当のつながり、信頼関係を構築する上でも抜本改定は必要だ」とした。

 こころは「現行の地位協定を大きく改定し米兵、軍属とも一義的に日本の司法制度下で手続きができるよう前進させるべきだ」とした。
(’16参院選取材班)