小学生姉妹の声届く バス停の壊れたベンチ直して→→役所へはがき


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ベンチが直って喜ぶ梨桜菜さん(左から2人目)、梨々華さん(左端)と修復した津波一夫区長=6月22日、名護市東江区

 【名護】小学生姉妹の一枚のはがきが大人を動かした―。沖縄県名護市立東江小学校(堀越泉校長)5年生の大浜梨桜菜さん(10)と2年生の梨々華さん(8)の姉妹が登下校中、通学路にある壊れたベンチでお年寄りが座りづらそうにしているのを見て、今年3月末、「直した方がいい」などと書いたはがきを名護市役所宛てに送った。市から連絡を受けた東江区が修復。願いがかなった姉妹は「お年寄りが気持ち良さそうに座っているのを見て、とてもうれしかった」と笑顔を浮かべた。

 姉妹は市東江区にある東江バス停前のベンチの板が外れるなど壊れていることに心を痛め、母親の尚子さん(44)に相談した。姉妹から手を引っ張られて、ベンチを見た尚子さんは「市にお手紙を書いてみたら」とアドバイス。母親に買ってもらったはがきに姉が文章、妹がイラストを書いて投函(とうかん)した。

 はがきは「学校の帰り道にいつも通っていて悲しいです」と始まり、「おじいさんやおばあさんがすわりづらそうでとってもかわいそうです」とベンチの修復を求めた。

 はがきを受け取った市総務部総務課地域協働係が、ベンチの所有者を調べたが見つからなかったため、東江区に相談。手紙の文面を見て「これをもらったら動かない訳にはいかない」と心を打たれた津波一夫区長(44)が区事務所にベンチを運び、3日間かけて修復した。板は区事務所にあった廃材を利用した。

 6月22日、姉妹は東江区を訪ねて津波区長に「ありがとうございました」とお礼。「はがきで大人たちが動いてくれたのはとてもうれしかった」と喜んだ。津波区長は「大人が気付かないことに気付いてくれた。このように教えてくれたら名護はもっといいまちになる」と姉妹を褒めたたえた。

 東江小学校の堀越校長は6月22日、校長訓辞を行い全校生徒の前で姉妹の善行を紹介。「すてきなお友達がいたことをとてもうれしく思う」と喜んだ。東江区事務所に同行した伊波勉教頭は「思いを伝えれば大人が動いてくれることを、子どもたちが実感できた。学校としてもとてもうれしい」と顔をほころばせた。

大浜梨桜菜さん、梨々華さん姉妹が書いた手紙
板が外れるなど壊れていたベンチ(名護市総務部総務課地域協働係撮影)