人工骨製造 沖縄に拠点 オルソリバース、年内にも工場新設


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オルソリバースが開発した綿状の人工骨「レボシス」(同社提供)

 人工骨の研究開発を手掛ける「ORTHOREBIRTH」(オルソリバース、横浜市、西川靖俊社長)が年内にも県内に工場を新設する。同社は既にうるま市州崎に研究所を設置しており、製造拠点を設けることで、販路拡大に加え、新たな製品の研究、開発を加速させる。

 同社は世界初の綿状の人工骨「レボシス」を開発、昨年4月から米国で販売している。「レボシス」は名古屋工業大の研究を応用して開発された。従来の顆粒(かりゅう)状やブロック状の人工骨に比べ、保水性や弾力性に優れ、骨の成長に合わせて成形しやすいのが特長だ。骨折の治療に用いられ、主に手足の骨の欠損部分に使い、時間経過とともに骨と同化する。

 現在は、米国のみでの販売だが、2020年を目標に医療機器の輸入販売を手掛けるKiSCO(神戸市)を通じて国内での販売も始める見通し。今秋には、新製品として脊椎系に使用できる綿状の人工骨の開発を予定しており、沖縄を拠点に対米輸出を拡大する。工場の規模は264平方メートル(80坪)以上を想定し、現在、交通利便性の高い中南部を中心に物件を探している。

 オルソリバースは今年5月に製薬会社のカイゲンファーマ(大阪市)と資本提携を結び、レボシスの製造を委託した。オルソ社は今後、新製品の研究、開発分野に資本を集中的に投下する。

 オルソ社は、沖縄工業高等専門学校とレボシス技術を応用した抗がん剤の開発で共同研究も進めている。さらに琉球大医学部とも再生医療分野での共同研究を始めており、県が推進する先端医療技術の実用化や感染症の医薬品開発など健康・医療産業の企業や人材を集積させる「沖縄中央クラスター」(仮称)の形成にも弾みがつきそうだ。