やんばるの木の端材がペンに!?【島ネタCHOSA班】


やんばるの木の端材がペンに!?【島ネタCHOSA班】 年輪が楽しめるペン
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以前、三線の天(頭)の部分が国頭村の地形やヤンバルクイナの形をした個性的な三線を作る知花善光さん(あしび三線ZEN)を紹介しました(2020年2月27日付)。現在、地元の木でボールペンを作っていると聞き付け、調査に行ってきました。

自由な発想でアイデアをどんどん形にしている知花善光さん。前回は天(頭)の部分が国頭村の形をした三線やラインストーンをあしらった三線、カラクイ(糸巻き)部分がギターのようなデザインの三線などを紹介しました。現在はやんばるの木の端材を使ったボールペンを精力的に製作しているとのこと。さっそく調査開始です。

「もったいない」から誕生

辺土名漁港近くにある「あしび三線ZEN」の扉を開けると、知花さんが出迎えてくれました。工房内には木製のペンもずらりと並んでいます。200本弱あるというペンは、軸を回して芯を出し入れする回転繰り出し式。材料に使用するのは、やんばる産のリュウキュウマツ、ガジュマル、センダン、チャーギ、サクラ、フクギなど20種類以上の木の端材です。

自身を「何でも屋」という知花さんは、県内外でさまざまなものづくりの職を経験してきました。その技術を生かして、「ひらめき」を形にしています。「1975年前後、国際通りにあった国際ショッピングセンターでジーンズショップの店員をしていた」とも言い、昨年は生地をつなげて縫製するパッチワークジーンズも約50年ぶりに作り上げました。

知花さんが作ったジーンズ

知花さんが木製ボールペンを作り始めたのは2020年頃。「三線の残りの材料を何かに使えないかとずっと悩んでいた」と振り返ります。そんなとき、あるテレビ番組で木製ボールペン作りをする職人が紹介されていました。それを見て「ひらめいてしまった」と笑みを浮かべます。三線の製造過程で出た良質な端材を再利用する方法をやっと見つけたのです。

必要なのは5センチほどの長さの木材。自身の三線製作の端材の他、知人などから端材を譲ってもらい、どんどん製作していきました。これまでに500本以上を仕上げたといいます。

年輪の魅力にひかれて

ペンを見ていると、木の材質によって色や年輪模様、つやなどが異なり、一本一本個性が表れています。知花さんは作り始めてから「年輪にはまってしまった」と話します。最初は、年輪が面白いように現れるとは想像もしていなかったそうで、ますますペン作りに夢中になっているようです。「木の切り方で木目が変わるから、どう切ろうかと考えながら作っている。年輪の模様が狙い通りに出てきたり、想像もしていなかった模様が出てきたりするとうれしい」と目を輝かせます。

知花善光さん。「沖縄のチャンプルー文化が好き」

さまざまな年輪模様に出合えることがやりがいになっている知花さん。「年輪は人と一緒でみんな違って面白い。そんな年輪の魅力をみんなに知ってほしい」と言います。世界自然遺産に登録されているやんばる地域の貴重な木から生まれたボールペン。知花さんの商品は「くんじゃん木ボールペン」として道の駅「ゆいゆい国頭」でも販売されています。興味のある人は、手に取ってやんばるの木の年輪の魅力に触れてみてください。


あしび三線ZEN
TEL 0980―41―2853

(2024年10月10日 週刊レキオ掲載)