【ヘリパッド取材班】自衛隊のCH47輸送ヘリが米軍北部訓練場の上空に姿を現したのは、13日の早朝午前6時だった。「とうとう来た」「こんなに早い時間とは」。驚く市民らが見詰める中、2機の自衛隊ヘリはG、Hの両地区付近にある作業ヤードやメインゲートへの離着陸を繰り返しながら午前9時すぎ、重機の空輸を始めた。強い雨が降る中、県道70号を通る県民の頭上を越え、次々と重機がG、Hの両地区に運び込まれた。建設に反対する市民らは「自衛隊機の使用をやめろ」「県道上空を飛ぶな」などと怒りの声を上げた。
「ついに政府は禁を破った」と憤ったのは、沖縄平和運動センターの山城博治議長。「これまでとはレベルが違う。自国の正規軍隊が、県民の人権を蹂躙(じゅうりん)する構造。まるで戦前だ」
高江ヘリパッド建設反対現地行動連絡会の間島孝彦共同代表は「何でもありだ。県道を飛ぶのも非常識だ」と憤った。
東村高江集落に近い林道で工事作業員の通行を警戒していた東京都の富永誠治さん(64)は「県民が示した民意を全く無視して、強行突破しようとしている。国家権力の暴走だ」と声を荒らげた。
自衛隊機による重機の搬入が始まると、東村高江の県道70号沿いの複数の地点に警察車両が待機した。上空をヘリが飛ぶのに併せて交通規制なども行った。
砂利搬入の阻止行動を続ける佐々木弘文さん(40)は「今日砂利搬入などがなかったのは、自衛隊機の警戒のためだろう。警察は事前に経路も知っていたのではないか。警察、自衛隊も一体となり、ここまでやるか、という感じだ」と述べた。
◆「そこまでやるか」県民ら怒り、憂う声
米軍北部訓練場のヘリパッド建設に13日、陸上自衛隊のヘリが使われたことに対し、県民からは「怒りを感じる」「国民の意見を聞いて」などの意見があった。
那覇市の仲盛毅さん(80)は強い調子で「憲法9条がある国の自衛隊が、米国の基地建設になぜ協力しないといけないのか。怒りを感じる」と疑問を呈した。
「県民に何も恩恵がない点が問題だ」と指摘するのは、北谷町の田場梢さん(37)=看護師。「『思いやり予算』などで日本は多額の税金を米軍に使っている。工事をやるにしてもせめて民間の、それも県内企業を使ってほしい」と要望した。
沖縄市の30代男性=団体職員=は「ひどい。自衛隊ヘリを使わざるを得ないから使っているのだろうが、県民の民意を尊重してほしい。自然を壊して『負担軽減』というのはおかしい」とあきれた表情で話した。
「そこまでやるの」と驚くのは飲食店に勤める女性(63)=那覇市。「あまりにあからさまでショックだし、怖さを感じる。この国の未来は大丈夫なのか」と心配そうに話した。