【教員超勤放置】「残業するなと言っても」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
残業する教諭ら=4日午後6時ごろ、県内中学校

 公立小中学校教員の労働時間を市町村教委が把握する制度がなく、校長や教頭ら各学校の管理職の目視確認に依存している現状が浮かび上がった。県教職員組合は市町村教育委員会に客観的な労働時間の把握を求めてきた。現場の教職員らからは「管理職の目視では難しい」「学校によって違いが出る」などと訴える声が上がった。読谷中学校や沖縄市教育委員会は新たな取り組みに乗り出している。

 公立小中学校教員の労働時間が把握されていないことが明らかになった。退勤時間を記録する仕組みがなく、市町村教委は「管理職が確認している」「各校長・教頭が声掛けしている」と釈明した。一方、現場の校長や教員から「管理職だけでは難しい」「学校によって違いが出る」などの声が上がった。

 20代の小学校教員は午前6時半に出勤して午後10時まで働いていた時期もあった。「時間内は雑務をこなすので授業の準備などは時間外にするしかない。校長や教頭によって管理に差が出るため、遅くまで働く先輩職員が多くて若い職員が帰りづらい学校もある」とこぼした。

 中部地域のある小学校教員は「特に学力向上に関する業務など県教委から下りてくる仕事が多い。加えて保護者対応や会議が入り、とにかく業務が多い。残業が前提となり、教職員自身も定時の感覚がない」と指摘した。

 中部地域のある小学校長は「先生たちが部活動のために出勤している時など(管理職から)見えていない勤務もあるだろう」と明かした。

 別の校長は「働き過ぎている職員には声掛けするようにはしている。だが残業するなと言っても業務が減るわけではなく、かえって無理させてしまう可能性もある」と顔をしかめた。

 読谷中学校で教員の体調管理の相談や支援も担う養護教諭の與那嶺萌子(めいこ)さんは「今までは超過勤務を管理する仕組みがなく、遅くまで残業するのが当たり前になっていた。タイムカード制の導入で(時間を)意識するようになったと思う。ただ、導入しても残業はなくなっていない」と話した。