入国審査の時間短縮 那覇空港、バイオカート導入


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バイオカートに指紋や顔写真の個人識別情報を登録する来沖客ら=7日午前、那覇空港国際線ターミナル

 入国審査の待ち時間が国内で1番長い空港となっている那覇空港国際線ターミナルで7日から、待ち時間の短縮につなげる専用機器「バイオカート」の本格運用が始まった。審査ブースに並んでいる間に顔写真や指紋などの個人識別情報を取得できる機材で、入国手続きにかかる時間を3分の2に短縮する。

 那覇空港国際線で、1人当たりの入国待ち時間は最長で50分。関西国際空港の38分を大きく上回り、混雑を招いている。個人情報や入国目的、パスポートの有効性の確認など一連の手続きを全て入国審査官が担っており、複数の飛行機が同時に到着した際などに待ち時間が長くなっていた。

 移動式のバイオカートを導入することにより、列に並んでいる間に個人識別情報を機械が取得して審査官の業務を減らす。入国者1人に要する審査手続きは、これまでの1分程度から40秒程度に短縮されるという。バイオカートはシステム開発費も含め1台約800万円。那覇空港には14台が導入された。

 本格運用に先立って1日から試験運用を実施。台風18号が襲来した翌日の4日には、通常の倍近い6千人の外国人客が来沖した。従来なら1時間以上の待ち時間が予測されたが、バイオカートの導入で最長でも35分程度に収まった。

 政府は入国審査の待ち時間を20分以内にする目標を立てている。福岡入国管理局那覇支局総務課の高橋豊課長補佐は「外国人客は今後も増加が見込まれる。次年度には入国審査官を10人程度多い60人体制にする予定で、バイオカート導入とともにかなりの時間短縮が見込まれ、沖縄の観光振興に貢献できる」と語った。