沖縄トロリーバス誕生 日野自動車×ものづくりネット 来月カヌチャで出発進行


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産業まつりで披露された「県産新型トロリーバス」と(右から)福里浩介氏、白石武博氏、金城盛順氏=21日、那覇市の県立武道館

 県産品を一堂に集めた第40回沖縄の産業まつりが21日、那覇市の奥武山公園と県立武道館で開幕した。地場の食材を使用した自慢の特産品や新商品を紹介。県産トロリーバスやロボット開発など、ものづくり産業の技術を結集した新しい展開を披露した。40年を記念した特別企画「海洋産業特別展」には多くの県民らが足を運び、沖縄の次世代型海洋産業の可能性に関心を示していた。

 沖縄の技術の粋を集めた大型バス「県産新型トロリーバス」が誕生し、沖縄の産業まつりで披露された。11月1日から名護市のカヌチャベイホテル&ヴィラズ内で循環バスとして使用される。バスの設計から組み立てまで県内企業を中心に行われており、初の県産バスとなる。

 バスのベース部分となるタイヤとシャシーは沖縄日野自動車(豊見城市、福里浩介社長)が提供。デザインや設計、部品製造は一般社団法人ものづくりネットワーク沖縄(うるま市、金城盛順理事長)が担当し、車体(ボディー)部分の部品の製造、調達もほぼ県内企業が担った。

 バスは海に隣接するカヌチャベイホテルで運行するため、車体の素材は国内では初となるアルミを使用した。車体の組み立てに溶接なしのジョイント方式を採用することで、製作期間を2カ月に短縮。低価格かつ短期間で腐食に強いバスの製造が実現したことで「アジア市場への進出の可能性もある」(福里社長)という。

 バスはカヌチャベイリゾート(白石武博社長)が老朽化した循環バスを入れ替えるために沖縄日野自動車に開発を依頼したことからスタートし、約5カ月かけて完成した。

 車内は高級リゾート感を演出するため、総アルミ削りで重厚感あるレリーフ型に仕立てたほか、室内の床や柱などは塩害に強い人工木を用いた。全長7・9メートル、幅2・5メートル、高さ3・5メートルで、19人乗りとなっている。

 カヌチャベイリゾートの白石社長は「沖縄でも『ものづくり』ができることをこのバスが証明した。今回のバスの開発も6次産業化の一つだ。カヌチャベイホテルを走る姿を想像するとわくわくする」と語った。